「グローバルエリート」は正しいのか?
9月に東京に帰任以来、1カ月半ぶりに中国に行ってきました。東洋経済オンライン上では、中国の実体経済の減速を指摘する記事が掲載される一方、今や超人気コラムニストとなった「グローバルエリート」氏が、最近、訪れた上海の印象を「なんやこれ、香港みたいやないか!」と書いています(『中国経済崩壊論』は、やはりウソ!)。
私は今回上海と北京を訪れましたが、上海の中心部でソニーストアやユニクロの世界最大旗艦店を視察し、「新天地」地区にあるグローバル企業のオフィスビルで中国でのブランド戦略を議論している間、世界経済の中心地にいる浮揚感を禁じざるをえませんでした。
私が7年半本拠地としていた北京の現状は後述しますが、少なくとも北京、上海、広州、天津、成都などの1級都市(中国全土で18都市あります)の景気はいまだ上昇傾向にあることは確かです。たとえば不動産会社の投資トレンドについて、「Global Times」10月30日紙上には、今年1~9月の住宅物件への投資が前年比7.6%増、商業施設に対する投資は32.7%増という記事が出ています。
問題なのは地方の3~5級都市(計65都市)で、この中には、住宅や工業開発区などに無理に投資した揚げ句に、建物を造りすぎたり運転資金不足でプロジェクトが止まったりして、大規模なゴーストタウンを産み出してしまった地域が多数出ています。中国経済を論じるのが難しいのは、資本や人口が集中して膨れ上がる巨大都市群と、背伸びしすぎて立ち行かなくなった地方都市を全部ひっくるめて、国全体としての経済運営の健全度を分析しなければならないからです。
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