この先どうなる?中国の「景気」と「空気」 北京で実感した経済成長と大気汚染の実態

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ファッションショーと店員のケンカ

11月2日の土曜日、久しぶりの北京で、まず私は「新光天地」を目指しました。ここは、台湾の「新光三越」が北京の百貨店と合弁で経営する高級デパート&ショッピングモールで、その規模は地上6階地下4階、店内面積12万平米で取り扱いブランド数938。ここは、政府や法人需要に頼る国営百貨店と違って、金持ちの個人客が多く、週末は中国人富裕層であふれかえります。

私が向かったのは、今年、中国市場に参入したロサンゼルスの高級毛皮ファッションブランド「Laundry」が、新光天地内のショップで開催する、2013コレクションのショーです。知り合いの北京服装学院の教授が招待してくれました。日本円で100万円以上する毛皮をまとった欧米人モデルたちのキャットウオークとフォトセッションを見た後、主催者とひとしきり話をしてから、自分の買い物のためナイキショップへ移動しました。

その途中、何やらかまびすしい方角に目をやると、高級トラベルバッグ売り場で女性店員同士がつかみ合いのケンカをしています。ケンカの原因は容易に想像がつきます。おそらく、高級スーツケースを購入した客をどちらの店員が接客したのかでもめているのでしょう。彼女たちの収入は売り上げコミッションでしょうから、誰の売り上げになるのかは死活問題です。富裕層の買い物客たちはこんな風景は日常茶飯事といった風情で「スルー」していきますが、外国人にとっては物珍しい風景です。いつも思いますが、中国女性は絶対に敵に回したくない相手です。

良くも悪くも活気ある売り場を通り過ぎ、ナイキでフィットネスウエアを買いました。ここから先が相変わらず不便なのですが、ショップ内にはレジがありません。フロアに何カ所かある「収銀台(ショウインタイ)」へ行って支払うとレシートを渡されるので、それをショップに戻って提出して、初めて購入商品を受け取れる仕組みです。収銀台が遠かったり列ができていたり、客にとってメリットは何ひとつないシステムです。

街は高級車であふれ、広い道も大渋滞

同行してくれた友人と共に、次の目的地に向かうべく地下駐車場に降ります。エレベーターには、大量に買ったブランド品の大きな紙袋を台車に載せて店員に引かせた客が乗り込んできます。買い物客たちの会話を聞いていると、地元の北京人以外に、天津や河北省など外地から買い物に来ている人たちが多いのがわかります。2700台収容の駐車場で自分の車を見つけるのは一苦労。その間、停まっているクルマを観察すると、ポルシェ・カイエンをはじめ、アウディ、メルセデス、BMWなどの高級SUVの人気が高いのがわかります。

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