大気汚染が、中国のクルマ市場を変える? 苦戦する日本車メーカーが生きる道

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日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。このコラムでは、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。 
深刻化する中国の大気汚染。今後は環境基準が強化され、エコカー需要が拡大する可能性もある(写真:Imaginechina/アフロ)

まだまだ続く、中国の「クルマバブル」

2012年度の中国市場における新車販売台数は1930万6400台と発表されました。4年連続世界一となりましたが、伸び率は前年比4.3%で、成長にカゲりが出ているとの報道が見られます。しかし、中国で実感する消費者のクルマの購買意欲は相変わらず旺盛です。

今中国では行政が新車販売の規制を強化しており、上海ではナンバープレート入手に小型車1台分くらいのおカネがかかると言われますし、北京は新ナンバープレートの発行枚数を抽選方式で厳しく制限しています。たとえば今年1月のナンバープレート申請数140万4026に対して認可数は1万8653、当選確率は約75分の1という狭き門となっています。

大気汚染の悪化を受けて、北京市はさらにクルマの台数規制を強化するようで、1家族当たりの所有台数にも制限をかけるという報道も出ています。規制をかけなければいったい販売台数がどこまで伸びるのか、恐ろしい気がします。前年比4.3%増というのは、このような状況下での数字なのです。

2012年度のクルマ販売は日本ブランドの独り負け

そんな中、日本車は軒並み販売台数を減らしました。China Dailyの報道によれば、反日運動の影響もあって日産が118万1500台でマイナス5.3%、トヨタが84万0500台で4.9%減、本田が59万8577台で3.1%減、マツダが18万7087台で12.9%減です。

ちなみに、中国市場でトップを争っているのはGMグループ(前年比11.3%増の約284万台)とフォルクスワーゲングループ(前年比24.5%増の約281万台)です。同紙は、今後、日本のクルマメーカーが第3位のヒュンダイを含めたトップ3に追いつくのはほぼ不可能だと辛口の解説を加えています。

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