フランスも手を焼いた「チャイナ・リスク」
昨年、日中間の外交問題に端を発した反日デモや不買運動が起こり、中国で活動する日本企業にとっては緊張を強いられる日々が続きました。しかし、実は中国と外国との軋轢が一般消費者レベルの行動にまで波及した例は過去にも多数あり、その相手は日本だけに限りません。
2008年4月、北京オリンピックの聖火リレーがパリ市内を進行中、中国人聖火ランナーが妨害行動を受けるという事件が発生しました。妨害したのがチベット独立派であると報道された結果、中国人のフランスに対する反発が一気に高まったのです。
さらに、中国のインターネット上でルイ・ヴィトンなどの持ち株会社であるLVMHが、チベット独立派に資金提供をしているという噂が広まりました。それを受けて、ネット上ではLVMHが株主であるカルフールを標的としたデモや不買運動が呼びかけられ、実行に移されたのです。北京市内のカルフール付近を通ったとき、店舗を遠巻きにする見物人などの様子から、ただならぬ雰囲気を感じたのを覚えています。
そのときに回りの中国人に「中国の消費者は本当にフランスが嫌いでカルフールをボイコットしているのか」と聞いてみました。
返って来たのは、「愛国的行動が求められる状況で、カルフールで買い物をしたことが回りに知られたり、お店に入るところを写真に撮られたりしたら厄介だから、あえて行かない」という答えでした。
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