世界が学んだ教訓
この事例は、グローバル市場におけるリスク管理の格好のケーススタディとなりました。PRやブランドマネジメントの専門家たちはこぞって論評しましたし、ハーバード・ビジネススクールのケーススタディにも取り上げられています。
私が考えるこの事例の教訓は以下の5つです。
(1)発生した事象に対する抗議は、簡単に相手の態度や人格の否定へとエスカレートする
(2)事実に照らし合わせて自分が正しい場合でも、強硬な自己主張のみでは事態は変えられない
(3)自称「被害者」の論理をはねつけず、彼らの感情に対する理解を示す必要がある
(4)オープンマインドかつ真摯に取り組む態度をとり、つねに解決へ向けた意欲を示す
(5)多様な事実認定や解釈を持つ第三者を包含する、より大きなコミュニティの中での評価へと議論を誘導する
要は、カントリーリスクが大きい市場での危機対応においては、事実認定や事の善悪に関して争うよりも、問題に取り組む誠実な態度の表明を優先させるべきだということです。
完全アウェーの市場で、判断の是非について真正面から争っても勝ち目は薄いですし、将来への禍根を残すだけです。そうではなくて、一貫して事態に真摯に向き合う姿勢を明示して、相手の感情を制御することにより、攻撃の効力を薄める戦略をとるほうが早く事態を収束させることができるのです。
チャイナリスクは日中間だけに存在するものではありません。私たちは、グローバル企業がどのような準備をし、有事の際にどのように対応しているのかを学んで、リスク軽減に役立てるべきです。
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