レノボがグローバルブランドになれる理由

ポストPC時代をリードする成長戦略とは

日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。
IBMのパソコン部門買収から早9年弱。レノボはグローバルブランドへと成長しようとしている(写真:ロイター/アフロ)

着々と進む「PCプラス」戦略

レノボは私が中国に来るきっかけを作ってくれたクライアント企業です。2005年、IBMのPC事業買収後のグローバルブランド戦略や、中国国内の商品ブランド群の最適化などのブランド課題に対する提案の機会を与えられ、2006年、北京に赴任以降も仕事のかかわりが続きました。

2003年、英文企業名をLenovoに切り替えてグローバルブランドを目指した「联想」にとって最大のチャレンジは、「中国発のうさん臭いPCブランド」というイメージを払拭することでした。それから10年、現在のレノボの立ち位置を俯瞰したいと思います。

今年、業界予測では2ケタ減と見込まれる世界のPC市場において、日本企業はすでに事業を縮小・撤退し、HPやデルも伸び悩む中、ただ独りレノボだけが元気です。5月23日発表の2012~13年度の決算でも、売上高が前年比15%増の340億米ドル、収益は34%増の6億3500万米ドルと目覚ましい成果が喧伝されました。

昨年のPC業界は出荷台数ベースで8.1%縮小しましたが、レノボは逆に10.2%の成長を遂げ、グローバル市場シェア15.5%とトップのHPに肉薄しています。この結果は、「世界の工場・中国で安価な労働力を駆使して安いPCを作って世界市場で売りまくって得られた」というだけのものではありません。杨元庆(楊元慶)会長兼CEOの強力なリーダーシップの下、巧妙かつ現実的なビジネス戦略とブランド戦略を大胆な投資によって実践してきた結果です。楊会長は、戦いはすでにポストPC時代に入っているとして「ライバルはPCメーカーでなくサムスンとアップル」「今後はモバイル機器と企業向けサーバー事業を中核に据える」と発言し、着々と実行しています。

次ページ格好のケーススタディ
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
介護大全<br>お金、仕組み、施設を全検証

突然、訪れる親の介護にどう向き合えばよいか。3640人へのアンケートによる経験者の声を基に、介護の悩みや不安の解消策を考える。介護保険サービス利用の全容、4つのケースで試算した介護費用、老後の住まい徹底比較など、具体例を満載。