着々と進む「PCプラス」戦略
レノボは私が中国に来るきっかけを作ってくれたクライアント企業です。2005年、IBMのPC事業買収後のグローバルブランド戦略や、中国国内の商品ブランド群の最適化などのブランド課題に対する提案の機会を与えられ、2006年、北京に赴任以降も仕事のかかわりが続きました。
2003年、英文企業名をLenovoに切り替えてグローバルブランドを目指した「联想」にとって最大のチャレンジは、「中国発のうさん臭いPCブランド」というイメージを払拭することでした。それから10年、現在のレノボの立ち位置を俯瞰したいと思います。
今年、業界予測では2ケタ減と見込まれる世界のPC市場において、日本企業はすでに事業を縮小・撤退し、HPやデルも伸び悩む中、ただ独りレノボだけが元気です。5月23日発表の2012~13年度の決算でも、売上高が前年比15%増の340億米ドル、収益は34%増の6億3500万米ドルと目覚ましい成果が喧伝されました。
昨年のPC業界は出荷台数ベースで8.1%縮小しましたが、レノボは逆に10.2%の成長を遂げ、グローバル市場シェア15.5%とトップのHPに肉薄しています。この結果は、「世界の工場・中国で安価な労働力を駆使して安いPCを作って世界市場で売りまくって得られた」というだけのものではありません。杨元庆(楊元慶)会長兼CEOの強力なリーダーシップの下、巧妙かつ現実的なビジネス戦略とブランド戦略を大胆な投資によって実践してきた結果です。楊会長は、戦いはすでにポストPC時代に入っているとして「ライバルはPCメーカーでなくサムスンとアップル」「今後はモバイル機器と企業向けサーバー事業を中核に据える」と発言し、着々と実行しています。
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