レノボがグローバルブランドになれる理由 ポストPC時代をリードする成長戦略とは

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スタート当時の役員14名のうち10名はIBM/PC部門の元幹部などのアメリカ国籍やインド国籍の非中国人です(現在も半数が非中国人)。本社も北京からIBM/PC部門の所在地であったノースカロライナに移され、社内の公用語は英語となりました。つまり、これは単純な事業買収ではなく、中国ドメスティック企業「联想」を一夜にしてグローバル企業「Lenovo」に作り変える大胆な構造改革だったのです。ここが、日本企業による海外企業買収と決定的に異なるポイントです。

続いて2005年にIOCとオリンピックパートナー(TOPと呼ばれるスポンサーの最上級カテゴリー)契約を結び、2006年トリノ冬季オリンピックからIT機器の供給や運用などオリンピックの運営に参画して、グローバル・ブランディングを加速させます。むろん、レノボの本拠地で開催される2008年の北京オリンピックをにらんだ準備と予行演習の意味もありました。大きな投資ですが、周到に計算されたグローバルブランド戦略の一環です。

本番の北京オリンピックではIT技術で大会の運営をサポートし、同時にコカ・コーラ、サムスンと共に聖火リレースポンサーの権利を獲得して自社のブランド・コミュニケーションに活用する(聖火を運ぶトーチのデザインもレノボによるもの)など、存在感を見せつけました。

運も味方に付ける

それ以外にも、アメリカ本社機能を生かしてグローバルなブランディング・リソースを駆使しています。2006年には当時人気絶頂だったロナウディーニョ選手と契約してテレビCFを制作・オンエア(中国国内)。翌2007年には、モータースポーツに進出、F1「AT&Tウィリアムズ」チームスポンサーとしてエンジニアリングの力を世界にアピール。さらにアメリカのNBAとのオフィシャルパートナー契約など矢継ぎ早に大型投資を行いました。

 日本でも昨シーズン、レノボ・ジャパンが女子プロゴルフ開幕直前に契約した新人の斉藤愛璃選手が、開幕第1戦「ダイキン・オーキッド・レディス」でいきなり初優勝を飾るというビックリするニュースがありました。そういえば、今年の全米ゴルフ「マスターズ」トーナメントをユニクロと契約したばかりのアダム・スコット選手が制して話題になりましたが、勢いのある企業は運も味方につけるのでしょうか。

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