レノボがグローバルブランドになれる理由 ポストPC時代をリードする成長戦略とは

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

グローバルブランドはこうして作る

海外市場各国での事業の成功の集積なくして、ブランドイメージのみグローバル化することはありえません。一方で、製品に冠せられたブランドに、グローバルに一貫性を持つ魅力的な価値や主張が込められていなければ、市場で競合ブランドに勝つことはできません。また、長期的に最も重要な、企業に対する信頼感も醸成されません。「事業展開のグローバル化」と「ブランドのグローバル化」は統合的に行うべきものです。

2003年、联想は英文社名をLegendからLenovoへと変更しました。Legendという一般名詞では世界各国での商標登録が困難だったからです。彼らは海外の一流ブランドコンサルティング会社を起用してラテン語風の造語「Lenovo」(新しい、の意)を開発しました。2003年時点で「グローバル市場に進出して世界的ブランドになる」というビジョンを明確に描いていたわけです。でなければ高価なコンサルティング会社を雇って新規に英文名称を創造することはしません。

準備を済ませて虎視眈々と次の一手を狙っていたレノボは、2004年12月、IBMのPC部門の買収に踏み切ります。当時IBMが赤字のPC部門(2000年から2004年の間に累積10億米ドル近くの損失を出していたと言われています)の売却先を探していたのは周知の事実でしたが、触手を伸ばす企業はありませんでした。敢然と手を挙げたレノボを世界中のPCメーカーは密かに嘲笑していたのではないでしょうか。

この契約には、IBMブランドの使用権5カ年分とThinkPadなどに使われているThinkブランドの永久使用権が含まれており、レノボはこれを高く評価したのだと思われます。もうひとつ見過ごされがちなのが、これが単なるIBM/PC部門の買収ではなかったことです。レノボは買収金額12億5000万米ドルすべてをキャッシュで払ったのではなく、一部は自社株式をIBMに譲渡することで決済しました。その結果、IBMはレノボの大株主となり、経営に入り込んできました。

次ページ役員14名のうち10名は非中国人
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事