とは言え、足元のPC事業の成長戦略にも目を見張るものがあります。グローバル市場攻略に着実に成功しつつあり、先進国市場では、たとえば日本ではNECのPC事業と統合したことによってトップシェアを獲得し、北米では市場シェアを前年比1.8%増の9.3%に押し上げました。新興国市場でも、アジアパシフィック+中南米地域での売り上げはレノボグループの21%を占めるまで成長、さらに欧州・中近東・アフリカ市場がグループ売り上げの24%を占めるなど、世界中で満遍なく数字を伸ばしています。
一方で、「PCプラス戦略」として、レノボ用語で言う「MIDH(Mobile, Internet, Digital, Home)」カテゴリーにも果敢に取り組んでいます。特に中国では、iPad革命によるPC市場の競争パラダイムの変化の流れをうまくつかんで、早くから携帯電話やタブレットの製造に乗り出しており、たとえばスマートフォンではAnalysis International社調べによる2013年1~3月の台数ベースの市場シェアが13.1%と、サムスン(17.3%)に次ぐ第2位を占めています。アップルはシェア6.4%で第6位です。
日本企業にとって、格好のケーススタディ
ちなみに、同データによると中国で1~3月月に売れた携帯電話9054万台のうち7528万台がスマートフォンというのも驚きです。スマートフォンの爆発的普及は、特に内陸部の3~4級都市で急伸するモバイルオンラインショッピングや、ユーザー3億人超のチャットアプリ「微信(WeChat)」の流行などに支えられています。
レノボはさらに一大攻勢をかけるべく、5月に価格3299元(中国では3000元以上がハイエンド市場、1元は約17円)の最高機種「Ideaphone K900」を発売しました。6.9ミリの薄型ボディに、5.5インチ液晶画面と1300万画素+200万画素のカメラを搭載し、OPUはデュアルコアIntel Atom Z2580という、Galaxyをしのぐハイスペックモデルです。MBAロサンゼルス・レイカーズのスーパースター、コービー・ブライアント選手を起用したど派手な広告を展開中です。
また現在、2011年にPC事業を統合した相手先のNECと、スマートフォンの製造・販売でも提携交渉を進めていると報道されています。レノボがここまで急成長した事実は驚きであるとともに、日本企業にとって格好のケーススタディになると思います。
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