今回は、日本古来の履物である下駄をヒントに作られたまったく新しいサンダル「リゲッタ」をご紹介します。開発したのはシューズミニッシュの高本泰朗(やすお)社長。この道25年の経験を生かし、街歩きが楽しくなるサンダルを創り上げました。
このリゲッタ、一見すると丸味を帯びて野暮ったい印象です。エレガントでシャープさが売り物の現代の履物とはちょっと違います。
「でも、そこにこだわっています。人間は本能的に『丸み』に安心感を抱きますから」と高本社長。「数えきれないほどの失敗を重ねた後、この形に行き着きました。硬いアスファルトを快適に歩くさまざまな工夫が込められています」
その工夫の数々を語る前に、まずはリゲッタ誕生までの歴史をひもときたいと思います。
かつては履物の一大生産拠点だった大阪・生野区
有限会社シューズミニッシュは大阪市生野区にあり、従業員121人、売上高23億2000万円(2016年10月期決算)のシューズ、サンダルメーカーです。自ら、リゲッタブランドのインターネット販売も手掛けます。
ルーツは1968年創業の「タカモトゴム工業所」。創業者は泰朗社長の父親・高本成雄氏です。生野区と言えば、かつては履物の一大生産拠点。同社も、靴メーカーの下請け、地場産業のサンダルの受注生産をする家族経営の会社でした。
次男の泰朗氏は東京の靴の専門学校に進学。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに関西に戻り、神戸・長田で3年間修業をしました。1998年23歳の時、親元に入社。しかし家業は厳しい状況でした。メーカーの生産拠点が中国に移転し、下請けの仕事が激減。生野自体も地盤沈下が叫ばれました。なんと2000年10月期には事業売り上げがゼロになったそうです。
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