事実!「社長夫婦の仲がいい会社」は伸びる 山陽製紙が歩んできた「二人三脚」の全歴史

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そしてこの活動を、元の素材や製品よりも高い次元・価値のあるものを生み出す、という意味で、リサイクルの1歩先を行く「アップサイクル」と名付けました。たとえば某自治体にお返しするアップサイクル製品は、「里帰りメモ帳」として好評です。なおCSRの一環として、この売り上げの1%を自然環境保護のために寄付しています。

企業のオフィス古紙を回収して再生紙に戻すには、小ロット生産体制が必須です。トン単位生産が通常の製紙メーカーではなかなか対応しにくいのですが、山陽製紙では600キログラムの小ロットからの生産が可能です。小回りの利く中小企業ならではのメリットと言えます。

さまざまな製品PR活動にも積極的に参加しています。2014年、ある東京の展示会で、見学者から産業用梱包資材であるクレープ紙を、一般消費者向けの商品に転用できないか、という提案を受けました。早速、千秋専務を中心に検討が始まります。2016年、ブランド名を「crep(クレプ)」としました。

「何故ブルーシートで花見をするのか?」

新商品のアイデアを社員から募集すると、200件以上集まりました。その中でユニークだったのが、中国からの社員のアイデアでした。彼は日本のブルーシートに目を付けました。

PICNIC RUG(写真:山陽製紙)

「日本では何故ブルーシートで花見をするのか?という疑問からなんです。それならば、紙にデザインを施してブルーシートの代わりのものができないか、となりました」と原田社長。出来上がったのが「ピクニックラグ PICNIC RUG」です。濡れた地面でも使用可能で、紙だから軽量です。アウトドアシーズンに好評とのことです。

山陽製紙の売り上げは、直近2017年9月期 約10億7000万円。そして今まで述べてきたSUMIDECO、PELP! 、crepの新ブランド3つの売り上げは合計で約1億円という状況です。原田社長は「まだまだこれからですが、3年後には新ブランド合計で3億円まで積み上げるのが目標です」と言われます。

筆者は長年の取材経験から、夫婦仲がいい企業は業績もいい、ということを実感しています。奥さんが家庭にいる企業でも、仕事で夜遅く帰ってくる社長の夫に、明るく「お疲れさん!」と奥さんが声をかければ、昼の疲れも吹っ飛ぶと言います。

夫婦二人三脚の経営が創業者時代からの伝統。夫の原田社長のアイデアを妻の原田専務がしっかりと具体化しています。いつもニコニコされている原田専務に支えられて、六次郎社長は、会社を提案型企業にすべく大きく舵を切りました。夫妻で山に籠って作り上げた経営理念が社員の間にじんわりと浸透して、会社としての一体感も醸成されています。夫婦、社員足並み揃え、“自然とともに生きる永続企業”を目指して、さらに発展して行って欲しいと思います。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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