日本製紙が「生産能力2割削減」を決めた事情

大掛かりな能力削減は2011年以来

日本製紙の富士工場。今後は大都市に近い立地を活かし、家庭紙の生産拠点へ転換を図る(記者撮影)

デジタル化、ペーパーレス化の進展で紙の需要減少が止まらない。その中で、製紙会社は自らの身の丈を縮める、生産能力削減に踏み出す。

製紙業界2位の日本製紙は5月28日、国内3工場の抄紙機(紙を生産する機械)8台と関連する設備を停止すると発表した。これとは別に、5月末には紙製造の下工程にあたる塗工紙2台を止める予定で、合わせると削減能力は年76万トン、同社全体の2割弱に当たる。こうした大掛かりな能力削減は、リーマンショック後の2009年、東日本大震災後の2011年に次いで3度目となる。

新聞用紙や印刷用紙の需要が続落

業界団体の日本製紙連合会によると、2017年の国内紙需要は2660万トン、ピークだった2006年と比べ2割弱減っている。今年も前年比0・9%減と8年連続でマイナスとなる見込みだ。中でも大幅に減っているのが、新聞用紙や出版、広告、チラシなどに使う印刷・情報用紙だ。

日本製紙は新聞用紙や印刷用紙の国内首位。それだけに需要減の影響は大きい。同社の新聞用紙・印刷用紙部門の収益は、2018年3月期に55億円の営業赤字に転落した。数量減に加え、製品の値上げが浸透しなかったからだ。

新聞用紙・印刷用紙は原燃料価格の高騰を受け、昨年の夏以降、値上げを進めようとした。ところが、需要が減り続ける印刷用紙の値上げは限定的にとどまり、効果は雲散霧消した。新聞用紙に至っては、値上げそのものが行われなかった。食品向けや通販で需要が増えている段ボール原紙で、原料古紙高に対応した値上げが順調に進んだのとは対照的だった。

日本製紙が今回停止するのは、釧路工場(釧路市)の新聞用紙抄紙機1台、北海道工場勇払事業所(苫小牧市)の新聞用紙と印刷・情報用紙の全抄紙機4台、富士工場(富士市)の印刷・情報用紙の全抄紙機3台。この再編に伴い固定資産の減損損失を計上し、2019年3月期は約180億円の最終赤字に転落する見通し。最終赤字は7期ぶりだ。停止設備にかかわる従業員約350人はグループ内の配置転換で対応し、雇用継続する。

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