事実!「社長夫婦の仲がいい会社」は伸びる

山陽製紙が歩んできた「二人三脚」の全歴史

男里川での掃除の様子(写真:山陽製紙)

企業としてCSR活動に着手したのも2007年頃でした。若手の育成のため、30歳以下の社員にホームページを作らせることにしました。そこで会社近隣の風景を撮影しましたが、直ぐ近くの男里川がゴミだらけであることに愕然とします。

夫人の千秋専務は、将来の子どもたちのためにこの川を残してあげたいと、若手社員を率いて川の清掃に着手しました。毎月第2日曜の清掃活動に、いつしか近隣住民も参加。さらに毎水曜には、住民たちが率先して清掃活動を行うようになりました。地に足が着いたCSR活動が展開されています。

こうした環境への意識が、新製品や新しいビジネスを産むことになります。

梅炭から始まった「循環型製紙」の発想

和歌山県・南部(みなべ)町は紀州梅の産地ですが、梅を加工する際に大量に出る梅の種を海洋投棄していました。

ところがロンドン条約(1972年 廃棄物による海洋汚染防止のため締結された国際条約)で禁止され、その種を炭にしたものを紙にすき込むことができないか、との依頼がありました。梅炭の液で作業着や機械を真っ黒にしながら試行錯誤を重ね、2007年にようやく独自ブランド「Sumideco Paper」が誕生しました。

消臭、抗菌、調湿といった効果があります。ブックカバーやしおりなどの文具用品の他、靴の中に入れて臭いを消すノベルティ製品に加工され、「SUMIDECO」(「炭でエコ」の意)ブランドとして実用化されました。

そして梅炭から始まった「循環型製紙」の発想は、多くの人の関心を集め、新たな素材が次々と持ち込まれるようになりました。こうした再生紙への挑戦を担うのが、2008年に立ち上げた研究開発室「KAMIWAZA工房」です。

「未踏の分野に挑戦しているという誇りと喜びは、会社全体に活気をもたらしてくれています」と原田社長。紙を知り尽くした研究員たちが、日夜、新しい再生紙作りに励んでいます。

PELP!BAG(写真:山陽製紙)

その流れの中で、2018年には環境貢献のもう1つの柱、紙再生プロジェクト「PELP!」が生まれました。なお「PELP!」はコピー用紙が捨てられるのを助けようという想いを込めた造語(PAPER HELP ペーパー・ヘルプ)です。

企業から出た不用コピー用紙を専用の回収袋「PELP!BAG」に詰めて同社に送ると、100%再生紙となり、オフィス用品やライフスタイル雑貨としてその企業に戻される、という会員制サービスです。“捨てず、燃やさず、めぐる紙”をコンセプトに、生まれ変わった「PELP!PRODUCTS」として、定型名刺、メモ帳、一筆箋、A5ノート、長3封筒、角2封筒、A4紙袋などをラインナップしています。

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