須田:以前、靴屋の店長と飲みに行ったとき、店長が「今は人手不足だから、使いにくい学生でも切れないんだよ……」とこぼしていました。
原田:平成不況のときには「ブラック企業」や「ブラックバイト」という言葉がはやったけど、それも今は昔。もちろん、そうしたところが完全になくなったわけじゃないだろうけど、激減しているし、そうしたやり方は遠からずもたなくなるだろうね。とはいえ、ある程度厳しい環境のなか、一生懸命働くことで若者が学びになることも多かったはず。でも、これだけバイト先が若者に媚びを売らなくてはいけないとなると、そうした若者の学びの場は減ってしまっているだろうね。そこは大いに心配ではある。
若者の心をつかむのは“横から目線”
山切:私がバイトするコンビニに、懇親会のたぐいはないんですが、店長裁量でピアスや明るい髪の毛の色を見逃してくれます。本当はコンビニチェーンの全体ルールでそれらは禁止なんですが、学生を辞めさせたくないからって。
原田:えっ、じゃあ、コンビニチェーン全体のルールを、人手を確保したいがために店長が見て見ぬふりをして破っているんだ。それだけ人手不足が深刻なんだなあ。
牧之段:以前は結婚式場で会場を駆け回るウエーターのバイトをしていたんですが、バイトリーダーが僕の名前すら覚えてくれないし、駒みたいに使い倒されたので辞めちゃいました。今のWebメディアの社員さんは「学業優先でいいからね」とすごく優しくて、僕をちゃんとひとりの人間として扱ってくれますし、相談にも乗ってくれます。
正田:そうですね。社員さんがちゃんと僕らに目をかけてくれてると感じますし。ご飯を食べながら話を聞いてくれて、こちらに寄り添ってくれます。そういうバイトは辞めたくない。
原田:上から目線ならぬ、“横から目線”だね。それが若者の心をつかむポイントかな。学生だから、若者だからと下に見て舐めては絶対にいけない時代になっているね。
樋川:コンパニオン業界は女社会なので厳しいと言えば厳しいです。ランクによって時給が全然違ってて、最上位ランクのベテランだとコンビニバイトの時給の10倍くらいはもらえます。上の方のランクには40〜50代で元CAの方なんかもいて、人気だとホテル側から「△△にお願い」ってご指名がかかるんですよ。
原田:でも、君たち女子大生が40代、50代の女性と接するのは厳しかったりしないの? よく女性だけの職場のほうが厳しい、女性は女性に厳しい、なんて話もあるじゃない。中高年の女性が若い女性を目の敵にする、なんて話もドラマではよくあるけど。
樋川:まったく逆で、今は本当に人手が足りないから「辞めないで〜」って、お局から超優しく懇願されるんですよー!
原田:優しいお局なんて、ぜんぜんお局じゃないね。これも昔と大違いだ。今の時代だったら、大奥の女性のドロドロ劇もありえなかったかもしれないね(笑)。
(構成:稲田豊史)
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