日本に「鈴木大拙」を10人つくる
上田:昨年、親鸞聖人750回御遠忌で、東西の本願寺合わせて、とんでもないカネが集まったでしょう。600億円ぐらい。ところが教団というのは会議が本当に好きなので、全国から人を集めてやたら会議をする。JRやJAL、ANA、ホテルにいくら献金すればいいんだと、私と対談したご門主もそうとう怒っていらした。
今はスカイプでインターネット会議もできるし、電話会議もできるのに、大勢集めて会議ばっかりやっているうちに、どんどんカネがなくなってしまう。教団の教務員の人たちはビジネスに疎い人が多いから、何かのイベントをやるたびに電通や博報堂とか、教団御用達のプロデューサーたちに持っていかれて、バカスカバカスカ、カネを取られちゃうと。
そこで私がご門主に提案したのは、たとえばひとりに3000万円使ってもいいから、3億円の予算で10人、ものすごい優秀なヤツを集めて、世界各地の戦争の現場に行かせ、あるいはハーバードやパリ大学に行かせ、10人の鈴木大拙をつくりましょう。そのほうが親鸞さんも喜びますよと。
山折:それはいいですな。
上田:10人、鈴木大拙が誕生して、ブッシュと会おうが、ミッテランやサルコジと会おうが、「すごいな、日本の仏教は! ここまで語れるのか」とうならせることができたら……。
ブッシュに対して、イラクの空爆はどうのこうのって遠くから声明を出すのではなくて、実際に乗り込んでいってブッシュとやり合う。キリスト教の福音派の人とやり合う。鈴木大拙のように本当に尊敬され、日本を代表する人間を10人つくったら、そうとう変わると提案しました。
山折:そのとおりだ。人材養成、これがいちばんですよ。あらゆる分野に必要なこと。
上田:ところが先生もご存じのように、仏教界は突き抜けようとするヤツを引っ張る組織ですから(笑)。でも本当に今、鈴木大拙が5人でもいたら、宗教界は変わると思うんですよねえ。
山折:ひとりでもいい。
上田:ひとりでもいたらねえ。
山折:京都の祇園に「釈尊」というクラブがあるんだが(笑)。
上田:シャクソン! 恐れを知らぬ名前ですね(笑)。
山折:そこに連れていかれて驚いたよ。きれいどころがダーッと並んでいる。経営者が北海道の浄土真宗の寺の女房なんだ。
上田:坊さんはみんな行くんですか?
山折:行くんだよ。
上田:もうとっくに末法になってるじゃないですか(笑)。
山折:13世紀だ。
上田:でも、一度行って終末を体験してみないといけない(笑)。
山折:今度、案内しようか。
上田:ええ、ぜひ次は「釈尊」で!
(司会:佐々木紀彦、構成:上田真緒、撮影:ヒラオカスタジオ)
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