リストラで社員の心をつかめるのか?

「ヒト」の要素を真正面から考える(上)

 戦略コンサルタントを経て、現在、投資ファンドで地方の中小企業の再建を手掛ける著者が、企業再生のリアルな日常を描く。「事業の収益構造」といった堅い話から、 「どのように社員のやる気をかき立てるのか?」といった泥臭い話まで、論理と感情を織り交ぜたストーリーを描いていく。

「ヒトビジネス」とは何か?

あまり耳にしない珍妙な業界用語かもしれませんが、コンサルティングの仕事をしていた頃、事業の分析をする際「この事業はヒトビジネスだ」という言葉を使うことがありました。

「ヒトビジネス」とは、従業員のやる気や能力が競争優位の源泉になっている業界のことで、要するに勝手に定義してそう呼んでいます。具体的には、比較的労働集約的な業界、たとえば外食、タクシー、携帯販売、自動化されていないメーカーなどを指す場合が多かったように思います。

でも考えてみると、組織があってそこに社員が集い、目標に向かって働いているという状況は(一般に「ヒトビジネス」とは呼ばれないような事業、たとえば装置産業であろうとエネルギー産業であろうと)、あらゆる企業活動で共通なものです。その意味では程度感こそあれ、すべての業界が「ヒトビジネス」と言えると思います。「ヒトビジネス」とはあくまで便宜的な定義です。

組織の構成要素が人である以上、「ヒト」はすべての産業で共通に重要です。私は企業再生の仕事を通じて、「ヒト」の要素の特殊性を念頭に置いて振る舞わないと判断を間違うと感じたこと、そして実際に間違えたことが何度もありました。

そのような経験を踏まえ、今回は企業再生における「ヒト」にまつわる特殊性や、前提条件について考えていきたいと思います。

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