何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
【Vol.21】 外資コンサルを辞めたほうがいいでしょうか?
塩野様、初めまして。
毎回の連載非常に楽しく、また示唆に富む内容で勉強させていただいております。
私は、大学時代に事業立ち上げなどベンチャー企業で働いたりした後、都内の私立大学理系学部を卒業後、IT系の業界最大手企業に入社し、法人営業など約3年経験致しました。しかしながら、組織の論理による弊害へのギャップや、戦略コンサルや投資銀行に行った友人と比較すると、圧倒的にスキルを得られていない恐怖感にかられ、修行として外資系戦略コンサルティング会社へ転職しました。
と、ここまではよかったのですが、正直に申し上げると、入社から1年ちょっと経過しますが、結果的に立ち上がっておらず、現在に至ります。多少の紙書きやリサーチスキル、課題解決思考などを得られましたが、正直、コンサルタントとして戦えるレベルにはないと実感しています。
入社した際、全体的にプロジェクトの数が減っていたこともあり、当初からプロジェクトへのアサインも芳しくなく、アサインされない期間が約1カ月半続くこともありました。自分のスキル不足も感じる反面、人格否定をされたこともありますし、アサインにおけるファームとの相性の悪さも感じており、そういった不安や焦りの中で、次のキャリアを模索しているところです。その分、人の気持ちが痛いほどわかるようになりました。
もともとベンチャーを立ち上げ、ビジネスをしていきたいと思っていますが、まだ資金、創業メンバー(信頼できる何人かと話はしている程度)、ビジネスモデルが明確に定まっておらず、現時点で起業の選択肢は考えておりません。
そこで、次の選択肢として、
①同業のコンサルティング会社で修行を続ける(コンサルスキルへの未練があり、ファームを変えてチャレンジしてみたく、それでもダメなら清くあきらめようと思っています)
②上場した企業(世間的にはベンチャーと称される)で、ある程度枠が定まった事業企画に就く
③未上場かつ50人以内くらいの会社(いわゆるベンチャー)で幹部(役員)を目指しつつ、未整備ではあるが事業企画系の仕事に就く
そろそろ年齢的にも30歳に近くなるため、次の選択の重さを実感しており(転職してキャリアアップは自明ではないのは理解しています)、ぜひ塩野様のアドバイスをいただければと思っております。
よろしくお願い申し上げます。
正直言って正念場
金木犀の香る神無月に入り、一雨ごとに秋が深まる昨今です。ちまたでは新卒内定式などもあり、筆者の勤務先のあるグラントウキョウサウスタワーでも学生の方々を見かけました。近々、筆者は『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』を出版する予定だったのですが、ビルの前で手売りする機会を逃しました。夢と希望に満ちた学生の方々を目にすると、「汚れちまった悲しみに」という言葉が脳裏をかすめるのはなぜでしょうか。
そんな手売りの機会を逃した昨今ですが、今回は外資系戦略コンサルティング会社に転職したものの、伸び悩みを感じている30歳前の方からのご相談です。質問者も感じていらっしゃるように、ご自身のキャリアにおいて、次の一手は一生の中でも重要な部類に入ります。正直言って正念場だと思います。ご丁寧に選択肢を提示いただいたのでそれに沿ってコメントさせていただきます。助かります。
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