学生に伝えたい、会社選びのイロハ

働くために「やらない」こと

就職活動はだまし合い?

小説を買う人は面白いから買うのではなく、面白そうだから買うのだと思います。

中身を知っている本は(普通は)買わないのだから当たり前の話です。その意味では、売れている本というのは期待度の高い本であり、必ずしも満足度の高い本とは限りません。就職や転職の人気企業ランキングもそれと似ています。その会社に入ったことのない人が行きたい会社を選ぶのだから、その選択は構造的にイメージが中心にならざるをえません。

小説の場合は、過去のその作家の読書経験の総量がブランドを作るので、期待度と満足度が一致する可能性が高いかもしれません。でも人気企業ランキングは、就業経験のない状況、もしくは断片的な2次情報がランキングを形成する分、その確からしさには疑問が残ります。

でもよく考えてみれば、就職・転職活動(特に就職活動)なんて、しょせんはだまし合いみたいなものです。志望者はできるだけ自分を優秀に見せ、会社はできるだけ自社を優良会社に見せ、お互いにインフレさせて、よいところをアピールし合うわけです(もちろんすべてがそうではなく、個別には新卒採用時のインターンシップに代表されるような職業体験的採用プロセスも少しずつ増えていますが、広く見ればまだ一般的とは言えません)。

そのような世界観の中で特徴的なのは、お互いだまし合っているというのを自覚し合っていることだと思います。自らをよく見せようとしていることはお互いにわかっている。だからお互いをアピールしながらも、どこかで疑ってかかる性悪説的なアプローチになる。自然体で相手をとらえるのではなく、そんなインフレ感を自覚しながらやり取りすることは、結果としてとても非効率なプロセスです。

そのやり取りで最も必要なスキルとされるもの、それは「コミュニケーション能力」だ言われます。確かにそうだと思います。でもその一方で、「コミュニケーション能力」という何だかわかるようでよくわからないスキルは、就職活動で必要とされる定義と、仕事で役立つ定義は大きく異なります。

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