「夏インターンシップは参加必須」の違和感

「就活に有利」という風潮に乗ってはダメだ

入社後3カ月といえば、新卒社員の多くはすでに配属が決まり、さあここからと意気込む時期だ。しかし石元さんは早くも転職を意識している。この「ミスマッチ」はなぜ生じてしまったのか。石元さんは「就活でインターンシップをもっと有効活用すべきでした」と唇を噛む。

石元さんは大学3年生の9月下旬に、運送会社のインターンシップに1度だけ参加した。内容は終日のワークショップで、「これでは就業体験にならない。時間のムダだ」と意義を見出せなかった。

それ以降、石元さんはインターンシップへの参加を敬遠した。「当時は熱心にインターンシップへ足を運ぶ友人を鼻で笑ってもいました」。そうこうしているうちに、企業が広報活動を開始する翌年3月を迎え、就活が本格化。石元さんは7社の選考を受け、5月に第2志望だった現在勤める企業に内定して、就活を終えた。

インターンシップに参加せずとも、第2志望の企業に入社できたのだから、一見、就活は成功したように見える。ところが石元さんは、入社後すぐに悲惨な現実に直面した。「社風や職場環境がまったく合わないのです」。

入社前、この状況は、想定できなかったのか。石元さんは「選考で企業がアピールする謳い文句と、現実には大きなギャップがあった」と指摘する。石元さんの場合、「ITを駆使した業務効率化が業界内でも進んでいる」という人事の説明に心惹かれて入社を決めたが、現実はまったく違った。

「ITのシステムは導入しているものの、使いこなせる人がいない。職場の平均年齢は高く、旧態依然としている。そのため上司の指導も理不尽に感じることばかり」(石元さん)という。

企業の謳い文句と現実との大きなギャップ

石元さんは「インターンシップの場を活用して、もっと社員に会っておけばよかった」と後悔を口にする。「私の場合は、幅広く業界や企業を検討することもなく、本選考を迎えてしまった。選考が2次面接、3次面接と進んでいくと、嬉しくもなり、どのような社員が働いているのか確かめる発想もなかった」という。

この反省から、これから就活を迎える後輩には、こうアドバイスを送る。「業界を絞らずにインターンシップに応募してみてほしいです。落ちてもまったく問題はない。向き不向きは、実際に入社してみないと分からない部分もありますが、まずは行動することです」。さらにこうも続ける。「と、言われても、私が学生だったらそんな話に耳を傾けないでしょうけれどね。痛い目に遭わないと気づけないのが難しいですね(笑)」。

石元さんのように入社後に後悔しないために、インターンシップをうまく活用したいものだ。そこで学生からインターンシップに関する疑問や悩みを募集し、その解決方法について、就活の専門家であるリクルートキャリア就職みらい研究所の増本全主任研究員に聞いた。

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