もう1つ、悩みとして多いのが、「インターンシップ選考落ち」のリスクだ。インターンシップの選考に落ちれば、「採用基準に達してないから」と判断し、本選考でも採用されることはないと考える人が多い。しかし、増本主任研究員は、それは杞憂だと言い切る。
「インターンシップは本選考よりも合格枠が少ない場合もあります。枠が限られていながら、ネットで気軽に、かつ大量にエントリーできるため、倍率は跳ね上がります。誤解を恐れずに言えば、落ちて当たり前なのです。インターンシップに参加する目的は、選考レースの勝ち負けではないはずです。なぜあえて、倍率の高いインターンシップにだけ挑んで、結果に一喜一憂するのでしょう。選考のないインターンシップでも、経験は積めます」
実は企業側も悩んでいる。インターンシップの選考で不合格になった学生が、本選考を受けてくれないことに対し、頭を痛める声が出ているという。「インターンシップ参加者だけで採用枠を埋める企業はほとんどありません」(増本主任研究員)。
こうしたインターンシップの重要性を理解したうえで、では、効率的に活用するために、現場では何をすればよいのか。
社風、評価、働き方・・・何を判断基準にするか
「複数の中から、行きたい会社や業界を選ぶうえで、自分が大事にしたい基準を持っておくことは大切です。『社員の会話から見える社風』『評価の方法』『働き方』など何でもいいのです。後から見返して比較するために、共通でチェックする項目を作り、できれば点数化するといいでしょう」と増本主任研究員。そして、気をつけることとして、「目的を持つこと」の重要性を説く。
「インターンシップの中にも、合う、合わないがあるため、過度に期待せずに参加してみるのがいいと思っています。ただ、学生の参加が一般化したことで、企業は目的もなく何となく来た学生は、すぐに見極められます。企業も、時間と労力をかけて実施しているため、遊びではありません。場合によっては、インターンシップでの態度で、評価を下げることもありえます。学生もインターンシップの場を有効に活用するため、目的をもって臨んでください」(増本主任研究員)。
売り手市場の加速が予想される2020年卒の就活。企業はいち早く学生に接触できる場として、ますますインターンシップを重宝するだろう。同時にそのあり方が学生を惑わせているのも現実だ。
東洋大学に通う男子学生が「インターンシップ経由で内定を取った先輩が何人もいる。採用につながっていると考えるようにする」と話す一方で、立教大学の女子学生は「まずは業界を知りたい。インターンシップの時点で企業が合否を出すのはフライングに見える」と吐露する。
社会を知る手段はインターンシップだけではないし、実施の意図も企業によってまちまちだ。しかし、難しく考えず、企業が進んで場を提供するチャンスを活かしてみるのもいいだろう。今この時期に何を知りたいのか。目的次第で就活の意義は生まれるはずだ。
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