「夏インターンシップは参加必須」の違和感 「就活に有利」という風潮に乗ってはダメだ

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最初に出てきたのは「“夏のインターンシップへの参加は必須”とする機運に、私は違和感を覚えます」という意外な言葉だった。

理由は、留学や部活動など、学生だからこそできる経験をなおざりにすべきではないからだ。「人生において貴重な経験であると同時に、自分を磨く機会でもある。就活でも『学生時代に力を入れたこと』は面接で問われる」と語る。

しかし同様に、インターンシップで定職に就く前に社会を覗けるのも、学生の特権だと指摘する。「そのうえで、『就活に有利になるから』でなく『自分に合ったキャリアをじっくりと調べるため』に、インターンシップは効果的だと思います」(増本主任研究員)という。

夏季休暇は物理的に使える時間が長く、長期インターンシップを実施する会社も多い。一方、秋や冬の時期のインターンシップは、講義や後期試験とも重なり、慌ただしい時間を過ごすことになる。腰を据えて将来のキャリアをじっくり考えるには夏はいい時期だといえるだろう。

職選びには、家選び以上の情報収集を

寄せられた質問を見ると「そもそもやりたいことが見つかっておらず、どの業界のインターンに参加すればいいかわからない」という学生が少なくない。

「やりたいことは『知っていること』の中からしか生まれません。まずは情報を集めましょう」と増本主任研究員はアドバイスする。知らなかったことを知ることで、やりたいことが見えてくるというのだ。

「長期にも短期にもそれぞれ特徴とメリットがある」と語る、リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全主任研究員 (写真:リクルートキャリア)

「例えば家を購入するとします。そうなれば、パンフレットを取り寄せたり、実際に見に行ったり、納得のいくまで調べるでしょう。住環境や交通アクセス、間取り、価格……人それぞれこだわるポイントも違うはずです。では職の選択はどうでしょう。人生への影響度の高い重要な意思決定であり、多種多様でもあります。だからこそ、自分の判断基準を明確にするために、とことん情報を集めるべきなのです」

質問として多いのが、長期と1日開催のような短期とでは、どちらのインターンシップに行くのがいいのか悩むケースだ。しかし、増本主任研究員はどちらかを選ぶのではなく、長期と短期の「両取り」を勧める。

「それぞれ役割が異なり、長期インターンシップが『深さ』を、短期のインターンシップが『広さ』を担保する設計だからです。長期だと、会社での主要実務を経験でき、場合によっては、社員と営業先などに同行できることもあります。学生にとってもスキルアップでき、適性を見極めるいい機会となる。一方、1日程度のインターンシップは、短時間で会社を理解できるため、同業種の競合数社を比べる際に適しています」。

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