ドリブルに勝機を見いだした男の果てない夢 独自理論を確立した岡部将和氏が語る哲学

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さらに岡部の指導では、子供であろうとプロ選手であろうと、ドリブルをデザインする際に、必ず共通で伝えることがあるという。それは “挑戦することの大切さ”。

「もしドリブルで勝負したら、10回のうち3回は相手を抜くことができて、得点につながるかもしれない。でも多くの日本人は、そこで失敗を怖がって、チャレンジすることをやめてしまう。実際、先日行われたガーナ戦やスイス戦でも、そのようなシーンがたくさんあった。今回、僕も関わらせてもらった3選手(乾貴士、原口元気、宇佐美貴史)は、揃って代表に選ばれて、とても嬉しい。でも何より、全23人の選手には、自分たちが決めたことに、自信と勇気を持ってチャレンジしてほしい」

ドリブルを通じて目指す場所

複数のポジションをこなすことができる「ポリバレント」な選手が重宝される傾向が強い今のサッカー界だが、今までファンを魅了してきた名選手たちは、ドリブルという武器を持っていたということも、歴史が証明する事実である。ドリブル指導において、世界で最も注目を集める存在となった岡部は、この先、どんな夢を描いているのだろうか。

「ドリブルをデザインしながら、“チャレンジすることの大切さ”を伝えている以上は、僕自身が常に挑戦し続けていなければいけないと思っています。今、僕が持っている夢は2つ。ドリブル指導で世界196カ国を回ることと、バロンドール(ヨーロッパの年間最優秀選手賞)を獲る選手を指導すること」

自身の夢を実現するためにひた走る岡部氏(筆者撮影)

今まで岡部は、自らの夢をノートに書き記し、挑戦しそれを実現してきた。ドリブル指導で日本全国を回ること、日本代表選手を指導すること、世界的な有名選手とコラボすること……。

今の岡部なら、何年か後には大きな2つの夢も実現しているのではないかと思わせる行動力がある。

クラウドファウンディングで海外の渡航資金を集めたり、オンラインサロンを立ち上げて、自分の理論を広く世の中に広めていく仲間を集めたりと、夢や目標から逆算して、着々と準備を進めている。日本サッカー界に新たな風を吹き込む「ドリブルデザイナー」岡部の動きから、しばらく目が離せない。

(文中敬称略)

瀬川 泰祐 ライター

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せがわ たいすけ / Taisuke Segawa

1973年生まれ。北海道出身。エンタメ業界やWeb業界での経験を活かし2016年よりフットサルを中心にスポーツ分野のライティング活動を始めている。モットーは、「スポーツで繋がる縁を大切に」。

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