東京で山椒ラーメンが静かに人気を呼ぶ理由 国産香辛料が織りなす独特の新しい味わい

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MENSHOグループは国内8店舗目として昨年7月に「箸とレンゲ」を阿佐ヶ谷にオープンした。和歌山県産のぶどう山椒を使用した「ぶどう山椒の麻婆麺」を提供している。

阿佐ヶ谷の「箸とレンゲ」(筆者撮影)

「ラーメンによく合うスパイスを探していて和歌山のぶどう山椒にたどり着きました。収穫の季節によって香りも辛さも変わり、食べて感動したのがきっかけです」。店主の庄野智治氏はぶどう山椒の魅力についてこう語る。

担々麺に中国山椒(花椒)が使われたり、ラーメン店や中華料理店の多くがテーブルに黒胡椒を置いていたりするように、ラーメンはスパイス(香辛料)と組み合わせることで、味の広がりを得られる。一方で、それ以外のスパイスはあまり使われていない。庄野氏はここに目をつけた。国産のスパイスとして山椒を使ってみようと思ったのだ。

「山椒そば」が看板メニューの「中華蕎麦 にし乃」

今年2月、東京メトロ「本郷三丁目駅」近くにオープンした「中華蕎麦 にし乃」は「山椒そば」を看板メニューに掲げている。

「中華蕎麦 にし乃」の外観(筆者撮影)

こちらはスープに浮かべる香味油に中国山椒を使い、さらに高知産の青い山椒を上にミルを使って散らしている。スープに使っている煮干しと山椒の旨味と香りが交互に繰り出され、口の中はマリアージュ状態に。麺をすすると山椒の爽やかな香りが鼻に抜ける。
店主の水原裕満氏はこう語る。

「山椒=痺れという、ネガティブなイメージを持つ人が多い気がします。僕は山椒=香りだと思っています。山椒の香りを前面に持ってくれば広く食べていただけるのではと思い、看板メニュー化しました。今までの山椒の使い方とは違う切り口でアプローチしたつもりです。チャレンジしてみて、『これは美味しい!』と期待を超えている声もカウンター越しに聞こえてきますので、痺れと香りのバランスがいいのではと自己分析しています」

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