中野:日本企業にいる場合、自己主張しすぎるとレッテルを貼られるのですよ。「あいつは反体制派だ」とか言われてしまう。だから、私に言わせれば、日本企業で出世してきた人は、ひたすらパワハラに耐えてきた人ばかりです。彼らは、右から左に受け流す能力に長けているわけですが、そんな能力は、これからは何の役にも立たないと思います。
正直、日本の組織で出世した人の大半は、劣化しているとさえ思います。で、これがまた癖の悪いところで、自分がパワハラを受けた人は、自分の部下に対して同じことをしようとします。
「減点主義」の日本、「加点主義」のアメリカ
藤野:仕返し文化ですね。私はかつて外資系の運用会社にも勤務していた時期があったのですが、そこでは「360度評価」といって、上司、同僚、部下が、それぞれ自分をどう評価しているかで、昇進、給与が決められました。
そのとき、アメリカ人と日本人の評点に差があることに気づいたのです。たとえばアメリカ人が50点と評価した同一人物への、日本人の評点は40点というように、低くなる傾向がつねに見られたのです。その原因は、アメリカ人が加点主義であり、日本人が減点主義だからだと思うのです。冒頭の話に戻りますが、そもそもハラスメントが30種類以上もあると自体、日本人がいかに減点主義であるかを物語っています。
中野:しかしですよ、なぜ「あの子、可愛いね」というだけでセクハラになるのでしょうかね。時と場合にもよるでしょう。
渋澤:それはダメでしょう。でもごく普通のビジネスシーンで「今日の服、似合っているね」くらいは大丈夫でしょう?
藤野:渋澤さん、それはかなり危ないですよ。
渋澤:えっ、本当?
藤野:はい。基本的にアウトです。
渋澤:「あ、髪切ったんだ」っていうのは?
藤野:それも残念ながらダメです。セクハラに関していえば、相手に性的関心を持っていると受け取られことは、すべてアウトだと思ったほうが。
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