「特別支援学級」で育った子の知られざる本音

5歳で発達障害の診断を受けた女性の今

「発語は3歳のときなので、特に遅くはないですね。逆にトイレは遅かったです。言語能力と情報認識能力に差があって、言語のほうが早かった。妹は逆です。私は自閉傾向がかなり少ないです。障害の程度は、決して軽くはないですけど」

高橋涼音さん(仮名)の障害者手帳

「障害の程度は軽くない」という言葉が意外に思えて、「重さはどうやってわかるの?」と尋ねると、「生きていて、なんとなく(笑)」とのこと。本人がそう感じるのであれば、そうなのかもしれません。

「たとえば遅刻が多いです。私の場合は『我慢ができない』というのが、すごくあって。出かける前に、『お小遣い帳つけなきゃ。あ、あと10分ある、ちょっとやっちゃおう』というので止まらなくなったり。ちょっと時間があるな、と思ってブログを書き始めて止まらなくなったり。腰が重いから、出かける直前になっちゃう。時間があるときにやっておかなきゃと思っても、そのときはやりたくない。自分勝手なのかな?(笑)」

いや、それは誰にでもある傾向……というか、私もある! と思いましたが、おそらくその「止まらない」具合が、涼音さんの場合、人よりも激しいのでしょう。ここ数年は、母親と養父の離婚や、実父が亡くなったことなどからストレスが増え、症状がより強く出ているのだそう。

ただ、話をしていて、あまり特別な感じはしません。アスペルガー症候群はよく「人の気持ちがわからない」などと言われますが、涼音さんは話し相手の反応に敏感すぎるほど敏感です。

私は先に聞いていたので、「発達障害の人」という色眼鏡をかけて彼女に接してしまったと思うのですが、もしそれを聞いていなかったら、どうだったか? 気付かなかったかもしれません。

アスペルガー症候群、ADHDなど、ひとことで言っても、実際には一人ひとり違う部分が大きいんだな、という初歩的な事実に行き当たりました。

親の離婚、再婚、再離婚、死別、ほか

涼音さんは、家族遍歴もかなりユニークです。詳細に書くと原稿がつきてしまうので、ざっとまとめさせてもらうと、こんな感じです。

・幼少期 いわゆるふつうの4人家族
 父・母・1歳下の妹(その1)と本人
・小2 両親が別居 母と妹と3人暮らしになる
 まもなく妹が入院 退院後、妹(その1)は父のもとへ 母と2人暮らしに
・小4 知らないおじさんと母と3人で暮らすように
・小6 両親の離婚が成立し 母がおじさんと再婚 
・中1 涼音さんとおじさんが養子縁組 涼音さんに養父ができる
・中2 異父きょうだいである 妹(その2)が誕生
 なお小4~高2の間、大黒柱は母 養父が主夫&子育て担当
 元社会福祉士の養父は「療育的な子育てを試行錯誤した」そう
・高3 母と養父が離婚し 母との2人暮らしに戻る
・高4 実父が亡くなる 妹(その1)は祖母と暮らすように

 一度読んだだけでは飲み込み切れないと思いますが、いろいろあったんだな、ということはおわかりいただけたでしょう。

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