39歳「工場夜景」に鉱脈を見た男の痛快な稼業 元保育士はこうしてプロカメラマンへ転じた

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作家活動と同時にスクール写真を撮っているカメラマンは少ないという。広告業界やアパレル業界のカメラマンは多いが、どちらの業界も仕事は減っている。

不景気なのもあるし、デジタル一眼レフカメラが安く高性能になったためカメラマンに頼まず自社のスタッフで撮るようになったのも原因の一つだ。

「業界で食い詰めたカメラマンがスクール写真に流れてくることもあるんですが、撮り方が違うのでうまくいかない場合が多いですね。『自分はカメラマンだ』というプライドが邪魔をするケースもあるみたいです」

スクール写真は大事だが、もちろん作家性の高い作品で稼ぐ割合が増えたほうが嬉しい。

工場夜景のカメラマンとして活動

プロになった後は、主に工場夜景のカメラマンとして活動している。

小林さんが工場夜景を撮影する時は、あまり知識を入れずに現場に行くという。

「マップを見て『ここらへんに工場地帯があるな~』くらいの知識で向かいます。現場に到着してから、良い撮影スポットを足で探しますね。山道を何時間も運転することもあります」

撮影現場では、昼間に少し仮眠をとるだけで、後はずっと撮影をしているという。余力がある時は、日中も写真を撮る。とてもタフだ。

これまでに北海道から九州まで、全国各地の主たる工場地帯は回った。最近では他人が撮った工場写真でも一目見れば、それがどこで撮られたかわかるという。

「工場夜景写真に限った話ではないんですけど、興味がないカメラマンが撮影する場合も多いんです。そういう作品は、全然面白くないんですよ。さっきも言いましたけど、写真って好きなものじゃないとかっこよく撮れないんです」

小林さんの写真は、工場や廃墟好きはもちろん、興味のない人の胸も高まらせる。写真を堪能した後は、自分でも撮ってみたい、と思う人も多いだろう。

小林さんは、同士が増えて欲しいと思っている。2016年に発売した『夜の絶景写真 工場夜景編』(インプレス)では、工場夜景を撮るためのテクニックを親切丁寧に紹介している。また、全国の撮影スポットも載せている。

「僕は、基本的に情報は全部公開していこうと思ってます。それで工場夜景に興味を持つ人が増えてくれたら嬉しいです。

ただネットで僕の情報を猿真似した挙げ句『自力でポイントを見つけて撮った』という顔をされる時はちょっとムカつきますけど……。まあ、それはそれで仕方ないですね(笑)」

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