ネットとSNSが“歴史の情弱”を生む皮肉
グローバルエリートが後継者を募集?

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歴史認識が流動的になる時代の節目

まず国際政治的な大局から始めるが、これは言われ尽くされている感があるが冷戦構造でとりあえず棚上げにして反共で一致団結することが重視されたからであろう。このため日本では戦前からの指導部がそのまま戦後も政策を担当した。

ただし冷戦も終わり、一致団結する必要性が低下したときにいろいろ“見ないふりをしていた”過去に対するほころびが表出化するようになってしまったところに、戦時世代が亡くなり”歴史の生き証人”が消えるのと、不況で排外主義が蔓延するのが重ね合わさった。

また戦後から長らく、中国・韓国に力がなく、対米謝罪はしても対アジア謝罪はなくてすんだ時代で、中国や韓国からの謝罪要求など無視しても日本は何も困らなかったし、むしろ資金と技術供与を受ける側のこれらの国々が強く出られるわけもなかった。

このため、“植民地支配への謝罪と清算”という立てつけではなく、損害賠償の色彩を曖昧にした“経済協力と援助”という立てつけで日本からの多大な投資と技術援助があったわけだが、どうせなら明確に過去への謝罪と補償という立てつけでやったほうが、侵略の過去とその後の国際貢献が明らかになってよかったことだろう。

例えば鉄鋼分野での日本企業の戦後アジアへの多大な協力や、(韓国の)国民が反対したとはいえ日韓基本条約で決められた内容などは、安倍政権が過去の歴史や村山談話を書き換えようとしないかぎり、尊重されてしかるべきものであり、双方に自制を促したい。

また日本で左派政党がほぼ絶滅寸前にまで弱体化したことも一因である。実際に共産主義・社会主義が資本主義とのイデオロギー競争に敗れたのは人間の本性を鑑みたときに必然だったと思うが、まともな経済政策を提示できなかった左派政権の崩壊とともに、戦争被害国に配慮した歴史認識とやらもすっかり鳴りを潜めてしまった。社会党や共産党に現実的で魅力的なカリスマが見事なまでに一人もいないのは、人材開拓と育成を怠った自業自得といえよう。

最後にメディアの一般的性質として、右派メディアの方がリベラルより儲かることが挙げられよう。例えばアメリカの事例では一昔前はCNNの独占状態だったが、保守派のフォックステレビが10年そこらでよっぽど大きくなってしまった。

これは報道というのが実はエンターテイメントの一種で、人は自分の思い込みに沿った報道を欲しがる一般的性質を有することに加え、リベラルな人は左右両方の報道を見比べたがるのに対し、保守派はリベラルな報道に耳を貸さず保守派メディアだけに食いつくので、結果的に右派メディアの方が左右両方に見られるので市場が大きく儲かるという説が、フォックスTVの躍進を説明するときに語られているのをご紹介しておこう。

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