提案がヘタな人は相手の喜びをわかってない クールで合理的な側面だけで完結しない
そこで、記事冒頭にお話しした、「相手が却下する理由」を予測する視点の2番目、「『相手によくなってもらいたい』という動機を忘れないこと」が大事になってきます。
そもそもなぜ、提案をするのか?
そもそも、なぜわれわれは提案をするのでしょうか? もちろん会社である以上、売り上げを上げなければいけませんが、それがすべての目的ではありません。
たとえば、提案が承認されることで得る喜びはなんでしょうか? それは、「相手の問題が解消できて」「いまよりもよくなり」「ありがとうと言われる」ことであるはずです。こういった喜びこそ、提案をするわれわれの根源的な「想い」になるのではないでしょうか。
先ほどのようにクールな視点からお客さまの課題を浮き彫りにしていくことは可能です。しかし、それだけでは往々にして「相手によくなってもらいたい」という「提案(仕事)の本質」が置き去りにされてしまうのです。仕事とは、誰かが編み出したフレームワークに事実を当てはめるというような、クールで合理的な側面だけで完結するものではありません。「よくなってもらいたい」という提案者の想いが相手に伝わったときに、初めて提案に命が吹き込まれます。
仕事においては、「提案」は多くの場合、ものごとの始まりです。提案後に始まる「業務」や「プロジェクト」といった新しい仕事の起点なのです。その段階で必要になるのが、「これならやれるね」「結果が出そうだね」という成功のイメージです。つまり、提案の段階で、相手の組織全体にそういう空気感をつくってあげることが重要なのです。
そのためには、提案者自身が「こうすれば、必ずよくなる」という確信を持っていなければなりません。そして、想定できる障害を一つひとつ挙げて、「こうなった場合には、こうすれば解決できます」と対処策もそれぞれ説明し、成功の「絵姿」を具体的に見せるのです。その上で相手に「これならできそうだね」と信じてもらうためには、確信をストレートに伝えるのがいちばんの近道です。
それが「却下する理由」を潰すということです。プロジェクトは、いったん動き出せば、勢いがついて勝手に回り始めます。提案とは、「動かない車輪を転がす、最初のひと押し」です。それは人の心を動かすことでもあります。「よし、やってみるか!」と相手の腰を上げさせ、メンバーに一歩を踏み出させる。そのときに唯一の強力な武器となるのが、提案者の「想い」なのです。
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