デキる人は「他人は別の惑星の人だ」と考える ドイツ人が、自分に誇りを持てるワケ
日本の銀行でドイツ支社に勤務していたときの話です。部下だったドイツ人女性から、彼女のミスでトラブルが起きているという報告を受けました。トラブルの内容は、彼女がある顧客との間で、ルールで定められている書面を交わさないままに仕事を進めてしまったということでした。
その報告を受けて、私は開口一番「なんでそんなことをしたの?」と言ってしまいました。すると彼女は、
「ミスター・スミタ、あなたの仕事は『なぜ?』と聞き返すことではない。事後処理にベストを尽くすのが、あなたの仕事だ」
と言い返してきたのです。
それだけでも「失敗した人間が何を言っているんだ」と思うところですが、さらに彼女は、「ミスター・スミタ、もう1つ言わせてもらうけど、私が今報告しなかったら、私がルール違反をしたことはわからなかったはず。私に対して、『報告してくれてありがとう』と感謝すべきだ」と続けました。
私はしばらく言葉を失ってしまいました。「なんて図々しいんだろう」と一瞬思いましたが、彼女の言い分は実に筋が通っています。これはとてもよい学びの機会になりました。
失敗したときは、まず報告してくれたことに感謝するくらいでないと、悪い報告は容易に上がってきません。それから対処法を考えてフォローする。それが終わった後で、なぜこういうことが起きたのかを議論し、分析をするというのがあるべき手順なのだと学びました。
それは決して責任逃れをしているわけではなく、すぐにリカバリーしたほうが問題を解決しやすいので、合理的な考え方といえます。
失敗したら「次はどうしたらいいか」
私が働いていたメッツラー社でも、誰かが失敗したとき、個人を非難したり犯人探しをしたりしません。
仕事がうまくいかないときは、上司は部下に「なぜできないんだ?」とできない理由を聞くのではなく、「できるようにするには何をしたらいいか?」を考えさせて議論します。
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