デキる人は「他人は別の惑星の人だ」と考える ドイツ人が、自分に誇りを持てるワケ

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ドイツと日本は共通点も多いのですが、前述の「ルール」に関することだけでなく、「働くこと」や「仕事」「人生」に関して、少し考え方が違うな、と感じる場面が多々あります。

ドイツ日本研究所のフランツ・ヴァルデンベルガー博士は、日本とドイツの違いについて、次のように語っていました。

「ドイツと日本は、国民をどうとらえるかの考え方が違います。ドイツは国民をどちらかといえば労働者だととらえて、労働者の権利に重きを置いてきました。日本は消費者だととらえて、消費者の権利を重視していると思います」

ドイツでは労働者の権利を重視するために休日を充実させ、1日に働く時間も厳格に決め、徹底的に労働者が働きやすい国をつくりあげてきました。

ところが、日本では消費者としての権利を重んじたので、「お客様は神様」という意識が強くなったのではないでしょうか。だから、“神様”のためにコンビニは24時間オープンし、土日に休む店などもってのほか、ネットで注文したら商品が翌日に届くのは当たり前という風潮になっているのです。

今の日本では、“神様”のためにいい製品・いいサービスを少しでも安く提供するのは当たり前という考え方が根強く、サービスを提供する人々のストレスの原因にもなっています。

月~金曜日は日本語で「平日」、ドイツ語では「働く日」

また、ドイツでは、労働観が日本と違うように感じます。

日本人の誰でも知っているアルバイト(Arbeit)という言葉はドイツ語ですが、本当の意味は「労働」です。アルバイトはゲルマン語の「arba」が語源で、下男、家来、奴隷という意味になります。つまり、ドイツの労働には「苦役」というニュアンスが含まれているのです。

ドイツ語では月~金曜日を「Arbeitstag」もしくは「Werktag」と言い、意味は「働く日」になります。キリスト教圏なので、週末は安息日です。安息日には一切の労働をせず、お店も開いていません。安息日に苦役はしません。

日本では、月~金曜日は「平日」であり、言ってみれば普段の日。休日のほうが「特別な日」というイメージがあります。

よく「週休2日」という言い方もしますね。つまり、働く日が普通の日であり、週何日休めるか、ということにフォーカスしています。したがって、休日は特別な存在です。

一方ドイツでは一般に「週休2日」とは言わず、あえていうなら「Funftagewoche」、日本語に訳せば「週5日労働」というニュアンスになります。

つまり、働くことがある意味特別であり、週の中にどれくらいその特別な日があるかという点に着目します。

日本では労働は尊いものという道徳観があり、勤勉は美徳だと考えられています。「働かざる者食うべからず」ということわざもあるぐらい、働くことは重視されているのです。

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