「社会人基礎力」を失くした人に起きる大問題 「会社依存」が労働紛争の火種になっている

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新しい時代の日本の雇用社会において意識すべき点とは(撮影:今井康一)

4月から新社会人となった皆様、おめでとうございます。また、この時期は異動する人、仕事を変える人、独立する人など、さまざまな動きがある時期ですね。今回は、これからの時代の日本で働くということの意味を、労働法の視点を踏まえてお話ししたいと思います。

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これまで、日本企業は、昭和の高度経済成長期を経て、長期安定雇用と引き換えに会社に身を捧げる日本型雇用システムを形成してきました。これは、終身雇用・年功序列などを特徴とするもので、人口増、経済成長が大前提となってはじめて成り立っていました。

良い大学を出て、良い会社に就職し、結婚し、子どもをもうけ、家を買い、昇進し、定年まで勤めて、後は悠々自適に、という良い意味でステレオタイプな人生像は、特殊な前提がなければ成立しない「人生ゲーム」でした。

良い企業に入ったらそれで終わりではない

しかし、今後はそうはいきません。不確実性が高まっている現代では、ビジネスにおいて「どの分野がどう伸びるか」「どの分野が廃れるか」ということは、時代の変化が早すぎてわかりづらくなっています。今の企業が20年後、30年後にどうなっているかなんて誰にもわかりません。

経済産業省もこうした問題を意識し、2017年11月に人材力研究会(「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」)を立ち上げました。そして、2018年3月の報告書の中では、今後重要になる力について、「個人」が、自らの問題意識で、学び、働くことを通じて、自らの「羅針盤(GPS)」をもってキャリアを構築していくことだと指摘しています。

つまり、道の決まっている人生ゲームに、誰もがサイコロを振って、会社の指示に従いながら同じようなルートを進む生き方ではなく、それぞれの羅針盤(GPS)に従って、主体的に進んでいく意識が必要ということです。人材力研究会は、その時に必要な力を「社会人基礎力」と定義しており、これは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されるとしています。

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