「社会人基礎力」を失くした人に起きる大問題 「会社依存」が労働紛争の火種になっている

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3 チームワーク

発信力(自分の意見をわかりやすく伝える力)
傾聴力(相手の意見を丁寧に聴く力)
柔軟性(意見の違いや立場の違いを理解する力)
状況把握力(自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力)
規律性(社会のルールや人との約束を守る力)
ストレスコントロール力(ストレスの発生源に対応する力)

3つ目は、「チームワーク」です。チームで仕事をするうえでは、自分の思いをハッキリと述べ、相手の意見も聞き、柔軟に自説に固執せず、現状を把握しながら働くことが重要です。

人前で話すのが苦手という方はぜひ「トーストマスターズ」に行ってみてください。これは、アメリカ発のパブリックスピーキングとリーダーシップを学ぶ世界的ネットワークで、日本全国にクラブがあります。筆者自身も2年ほど通っていました。

自分の意見を述べられるかどうかは、ハッキリ言って慣れです。場数をこなせば誰でもできるようになります。たくさんの人の前で話すことが上手になれば、ミーティングや商談もうまくできるようになります。また、自分の気持ちを伝えるには相手の意見も聞かなければなりませんし、状況によっては先程自分が述べた意見も撤回することが必要です。

さて、この「チームワーク」を失った人の紛争事例はどのようなものでしょうか。自分の思いを明確に伝えられず、「会社はわかってくれない!」と担当業務や評価に不満を持つケース、相手の意見を聞かずに強引に仕事を推し進めて協調性不足とされるケース、自説にこだわり間違いを認められずにプロジェクトの引き際を見つけられず、会社に損失を与えてしまうケースなど多数あります。これらの力を失っていないだろうか、と自ら問いかけ、また他者に尋ねる姿勢を持つことが重要でしょう。

人間関係については我慢しすぎない

最後に、現代で特に重要となるストレスコントロールとの関係について述べておきます。ストレスによりメンタル不全となり仕事ができなくなってしまう話は少なくありません。ストレスから解放されるには、ストレス発生源から離れ、根本原因を解消することしかありません。つまり、嫌な仕事から離れるか、嫌な人間から離れることです。

特に人間関係については我慢しすぎないでください。会社に働きかけて部署や仕事を変えてもらえなければ転職も視野に入れましょう。よく、「社会人になったら3年頑張れ」などと言われますが、命の危険を感じた場合にはすぐに逃げてください。

以上、新しい時代の日本の雇用社会において意識すべき点について述べました。一度雇用してしまえば、会社は個人の面倒を見ることが当然であるという発想は、もはや受け入れ難いものとなっています。会社が用意した仕事をこなせば給料がもらえて当たり前という感覚では、長い社会人生活で自分の立場を維持し続けることはできません。主体的に自分自身の状況を内省し、個人のスキルアップを図り、上司や部下、同僚などから評価をしてもらう思考や行動は何かを考えることが、ますます求められていくでしょう。

倉重 公太朗 倉重・近衛・森田法律事務所 代表弁護士

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くらしげ こうたろう / Kotaro Kurashige

慶應義塾大学経済学部卒。第一東京弁護士会労働法制委員会 外国法部会副部会長。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員。日本CSR普及協会雇用労働専門委員。労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉(組合・労働委員会対応)、労災対応(行政・被災者対応)を得意分野とする。企業内セミナー、経営者向けセミナー、社会保険労務士向けセミナーを多数開催。著作は20冊を超えるが、代表作は『企業労働法実務入門』(日本リーダーズ協会 編集代表)、『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか(労働調査会 著者代表)。

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