「社会人基礎力」は、学校では教わらず、職場でもまれるうちに自然と身に付く能力ですが、このことを早いうちから意識して仕事をすると、職場で求められる能力を明確にし、意識的なキャリア形成ができるでしょう。
新卒の皆さんはもちろんのこと、すでに社会の先輩として活躍している方も、ぜひ自分の身に当てはめて考えてみてください。では以下、具体的な内容を見てみましょう。
社会人基礎力という視点を持つことの重要性
1 前に踏み出す力
② 働きかけ力(他人に働きかけ巻き込む力)
③ 実行力(目的を設定し確実に行動する力)
まずは「前に踏み出す力」です。受け身ではなく、自ら進んで物事に取り組み、周りを巻き込み、実際に行動するという姿勢は重要です。最初の内は言われたことをこなすので精いっぱいでしょうが、徐々に余裕が出てきたときに「それ、やっときましょうか」と徐々に仕事を増やしていくと、周りの信頼を得ることができます。また、プロジェクトを進めるときも、いかに多くの人を巻き込んで協力してもらえるかが成功のキモとなります。
筆者が弁護士として労働裁判を扱っていると、この「前に踏み出す力」を失った人に関するものが多く見られます。言われたことしかやらない人、1人では仕事ができるが、プロジェクトメンバーを動かせず、チームとしての成果が出せない人、会議で意見はするが決して自ら実行することはない人など……。こうした人は、やがてモチベーションが低下し、そのうち言われたこともできなくなり、最終的にパフォーマンス不足として解雇されてしまうのです。
ここで言いたいのは、このような解雇が法的に有効か無効かという話ではありません。そもそも会社から解雇の対象として検討されることがないよう、社会人基礎力という視点を持っていただきたいということです。
2 考え抜く力
② 計画力(課題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力)
③ 創造力(新しい価値を生み出す力)
次に、「考え抜く力」。今担当している仕事の課題を発見し、それを改善するための計画を立て、まったく新しい視点の価値を出すことができれば、それはすばらしいことです。課題の発見は、何も難しい技術やプロジェクトの話だけではありません。たとえば「今の職場が汚いのはなぜか?」といった身近なことでも構わないのです。こういった課題を発見し、計画を立てて改善していく姿勢があれば、それは何事にも通用するでしょう。
この「考え抜く力」を失ったケースも、労働紛争で問題になりがちです。仕事に慣れた頃に現状に甘んじてしまい、スキルアップを怠った結果、そのスキルが不要とされる頃には別の仕事をアサインすることもできなくなってしまう例、部下に対して課題は指摘するが、計画自体に無理があり結果として無理強いしてしまうパワハラ事例などが散見されます。これらの紛争ケースを反面教師として、つねに「考え抜く力」を持つように意識してみてください。
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