「年収1000万円世帯」の老後資金が危ないワケ 熟年パパのための「マネープラン」とは?

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「特に、世帯年収が1200万円くらいの夫婦は、日常の出費で少しずつぜいたくをしがちです。スーパーなら西友より成城石井、マクドナルドよりもスターバックス、ユニクロよりもユナイテッドアローズ等々。子どもにも『しまむらの服なんて着せたくない』と考え、ミキハウスの3万円の福袋を買うために熟年夫婦の行列ができたりする。高給取りがアダになり、払えてしまうから油断するわけです。これを積み重ねた結果、60歳近くになって『貯蓄が50万円しかない』と相談に来る方もいますね」(高山さん)

ファイナンシャルプランナーの高山一惠さん(撮影:博報堂ケトル)

また、この時期は、上司や先輩の給料がダウンしていくタイミングでもあります。

「昨今は、年金受給が始まる65歳まで雇用するために、50代の半ばになると、給料をダウンさせ、薄く引き延ばしていく傾向があります。そのため、50歳になる頃、上司や先輩たちの給料がゆるやかに下がっていく様子を目の当たりにして焦り出す、という方も少なくはありません」(高山さん)

給料は伸びず、子どもはまだ幼く、そのうえ、親の介護が始まれば妻の収入はあてにできなくなる。熟年パパたちにはそんな危機的状況が迫っているのです。

教育費は「家計のブラックホール」

現実問題として、子どもの教育資金を考えた場合、いつまでにどの程度の資金を貯めておくべきなのでしょうか。大きな山は、大学進学と私立中学の受験。高山さんに教えてもらったそれぞれの目安を紹介します。

(1)私立大学に進学させる場合
・子どもが18歳になるまでに400万~500万円を用意。
※大学の4年間の授業料 
ほかに大学受験の費用もかかる
(2)中学校から私立に行かせる場合
・小学3年生までに進学塾に通う費用として350万~400万円を用意。
※都内進学塾の年間費用目安は、3~4年生で50万円、5~6年生は100万円
・小学6年生までに中学3年間の学費として300万円強を用意。
※多くの家庭では、塾代や授業料を毎月の家計からやりくりしている。
私立中学に通った場合、授業料として毎月10万円程度支出することになる

若い頃から家計を引き締めてきた夫婦は、高校までは公立を選択するケースが多く、意識が高い場合でも名門公立を狙います。一方、油断して出費を重ねてきた熟年パパのスタンダードは、もちろん私立中学受験です。

「最も注意したいのは、中学受験の直前に『学費が捻出できない』となるケースです。その原因は、幼少期の習い事におカネをかけすぎたから。いま流行の3大英才教育は、水泳、英語、プログラミング。意識高い系の共働き夫婦をターゲットにした雑誌の影響で“ピアノ熱”も再燃し、年収が高い世帯は4~5つの習い事をさせているようです」(高山さん)

習い事の選択肢はいくらでもあり、かつ、遅くなってできた子どもは目に入れても痛くないほどかわいい。高収入の熟年パパ家庭では、わが子が何をするにつけても、「この子には才能がある」となり、おカネも情熱も注ぎ込みがちなのです。これに対し、高山さんは、「教育費は家計のブラックホールととらえるべき」と話します。

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