「年収1000万円世帯」の老後資金が危ないワケ 熟年パパのための「マネープラン」とは?

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「私にも子どもがいるので気持ちはわかります。けれど、親の目で見た“子どもの才能”は、実際には“普通のレベル”であることがほとんどです。現実を認識している若い夫婦は、習い事も1~2つに絞っています。まずは長期的な教育プランを立て、家計から出せるおカネの中で考えること。教育費も予算を作れば青天井にはならず、ブラックホールのごとくおカネが吸い込まれていく事態を防げます」(高山さん)

また、共働きの場合には、稼ぎの共同戦線を張っていた妻が“思わぬ伏兵”になることも。私立中学受験にのめり込み、「子どもに寄り添いたい」と仕事を辞めてしまうケースが多いそうです。

「妻が働かないことで収入は減る一方、受験にかかる費用は湯水のように出ていく。そして、肝心要の大学受験の時期に『おカネがない』となるケースも。最近では、住宅ローンが残ったまま、教育ローンに手を出す家庭も増えています。さらに、留学、留年、大学院への進学などで、4年で解放してもらえないパターンも増え、老後資金はどんどん後回しに。子どもが巣立つ頃になって、『自分たちが暮らしていくためのおカネがない!』と気づいても遅いのです。こうした事態を避けるためにも、『妻には、何としてでも働き続けてもらう』が正解ですね」(高山さん)

まずは夫婦そろって「高給取り」の意識を捨て、身の丈に合う教育プランを考えることが肝要だと言えそうです。また、高山さんの実感としては、熟年パパたちはバブルを経験した最後の世代のためか、若い世代に比べて堅実性に欠けているところがあるそう。「自分は大丈夫」と思わず、バブル期とは時代が変わったことを認識したうえで、現実的なビジョンを持ちましょう。

金融庁厳選の「つみたてNISA」が登場

熟年パパがついつい後回しにしがちな老後資金。65歳からの年金暮らしには、「夫婦2人で3000万円は必要」とされていますが、これはあくまで現行の年金制度をもとに算出された数字なのです。高山さんは、「これからの時代は、4000~5000万円は必要になる」と話します。

「2016年に年金カット法案がとおり、段階的に実施される見通しです。年金受給額は現行の7割程度に減らされることになり、受給年齢も68歳まで引き上げようという案が出ています。現在の安倍政権は、『1億総活躍社会をつくり上げる』ことを政策に掲げており、70歳まで働くことを前提に制度改革の舵取りをしていくでしょう」(高山さん)

少子高齢社会が進む中、医療費の負担や介護保険料は上がり、また、消費税も増税されることが予想されています。国民を守るセーフティネットに回す予算はどんどん削減され、いよいよ本格的な「自己責任」の時代へ。

「国としては、国民の生活をカバーできる余力がすでにないため、労働による収入はもちろん、投資なども活用して各自で稼いでほしいと考えています。そこで、2018年1月にスタートしたのが『つみたてNISA(ニーサ)』です。

つみたてNISAとは、積立投資専用の「NISA(少額投資非課税制度)」。年間40万円までの元本(投資金額)から得られる売却益や分配金を最大20年間非課税にするという税制優遇施策です。つみたてNISAにラインナップされている商品は、金融庁が厳選した投資信託やETF。60歳までを対象にする個人型確定拠出年金『iDeCo』と違って年齢制限がないのは、『定年後でも運用しておカネを増やすことを視野に入れる』ことを促しているとも言えます。

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