「年収1000万円世帯」の老後資金が危ないワケ 熟年パパのための「マネープラン」とは?
「そうは言っても、投資信託商品はリスクが多そうで怖い……」。熟年パパだけでなく、多くの人はそう考えるもの。しかし、現在、金融業界は改革の時期にあり、昨年、森信親金融庁長官は、「大手金融機関は手数料稼ぎを目的にしている」と辛辣に批判し、時の人として注目を集めました。
2018年2月現在、つみたてNISAの対象商品となっている141本(ETF3本を除く)の投資信託は、そんな金融庁が一般の人が資産形成をするにあたり、長期的に安定して資産形成ができると判断した厳選された商品です。
はたしてどの程度信頼してもいい話なのでしょうか。
「月5万円」で老後資金は貯められる
金融庁による分析・調査が行われた結果、日本で販売されている投資信託の売れ筋商品上位10本はほぼ、長期的に安定して資産形成するに値しない商品であることが判明しました。森長官自らが「つみたてNISAの対象になりうる投資信託は全体の1%程度しかない」と怒りの演説をぶち上げるまでの事態に。金融のプロである高山さんから見ても、これまでの金融業界のあり方を大きく揺るがす出来事だったそうです。
「森長官は消費者保護の観点と使命感が強くある方。金融庁は、今後本格的にメスを入れ、金融機関のあり方は変わっていくでしょう。とはいえ、これまでならありえなかったはずの大改革を推進しているのは、『個人で資産形成してもらわなければ、国家が潰れる』という危うさの裏返しではありますが。つみたてNISAの対象商品は金融庁が厳選し、過去に遡っても安定的に利益を伸ばしているものばかりなので、リスクは低いと言えるでしょう」(高山さん)
年間40万円が上限のため、最大でも月額3万円程度の小額投資。けれど、高山さんの計算によれば、夫3万円、妻2万円と合わせて5万円を積み立て、利回り5%の投資信託で運用することができれば、20年後には2000万円程度になるそうです。先にも書いたように、年金カット法案によって足りなくなる老後資金は1000万~2000万円。まさに差額を埋めることができますし、教育資金に悩む熟年パパでも手を出しやすい金額と言えます。
「住宅・教育・老後の3大費用をそれぞれ別枠で考え、バランス良く貯めていくことが大事ですね。金融商品はどんどん変化しているため、このほかにも学資保険の予定利率が下がり、元本割れする事態が起きています。高齢化が進む背景の中、保険料を算出するための計算式も変わり、2018年の春以降は、死亡保障の生命保険は値下げ、医療保険は値上げ傾向の商品が登場する可能性が高いと言えます。金融業界の潮目が大きく変わる今、こうした情報をしっかり収集・活用できる人だけが得します。また、国民が損をするような国の施策が決定されるときも、大きく報道されない世の中なので、自己防衛のためにも情報に敏感になるべきですね」(高山さん)
手厚かったはずの国の制度が1つひとつ剥がされていく中、ボンヤリしていても保護してもらえる時代はもう終わったのです。熟年パパが今やるべきことは、マネーに計画性を持つことはもちろん、情報収集で時代の変化に対応していくことと言えそうです。
(編集協力:博報堂ケトル)
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