「ゴルフ離れ」を食い止めるスター養成の課題 世界で通用する選手を多く輩出できるか

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日本テニス協会などと違って、JGAにはプロの選手が登録されていないため、プロが世界で活躍しても五輪ゴルフ競技の統括組織としての実績が上がって助成金に反映されるかということも不透明だという。

そのため、自前で選手を強化しないといけない。現在、寄付金は2300万円ほど集まっている。企業の協賛金も並行して募り、4年間で7億5000万円というのがJGAの目標額だという。「無報酬の強化委員会のプロや、メダル報奨金の用意も必要になる」(山中専務理事)と、強化以外にも資金がいる。

寄付金のメリットとしては、JGA、PGAとも公益法人なので、収入によっては税制上の優遇措置を受けられる。JGAのHPに詳細が掲載されているが、寄付金額は1万円からで、100万円以上では公式戦の招待状や観戦券など額に応じた御礼もある。

息の長い支援が必要

「ふるさと納税」では魅力のある「返礼品」が話題になり、納税者も増えている。日本代表を応援しようという純粋な気持ちに期待するのはいいことであり、お礼のために寄付をするわけではないといってしまえばそれまでだが、JGAは全国のゴルフ場が正会員なのだから、ゴルフ場のプレー券やゴルフ場周辺の特産品などもあったほうがゴルファーにとっては魅力だろうし、入場者が減っているゴルフ場のPRにもなるのではと思う。

2020年東京オリンピックでメダルを取れば、ゴルフ人気に結びつくかもしれない。これは確かにありうる話だ。ただ、今回の構想で一番気になるのは、あと2年弱しか残っていないのに、急に強くなれるのか、ということだ。

この強化プログラムの中で五輪代表が生まれるとしたら、東京の次、その次になるだろう。「これは東京だけではなく、その先に向けてもやらなくてはいけないこと」だと、山中専務理事は言う。確かに、2030年の悲惨な予測を少しでも上向かせるためには「スター選手」が生まれて、ゴルフをやってみようという人が増えるのが一番だ。

折しも、JGTOの選手会長に石川遼が就任した。ゴルファーにはもちろん、一般の人にもアピールできる人材であることには間違いない。強化プログラムの実績より先に、男子ではまず石川が復調し、今の大学・高校生主体のナショナルチームから世界でも戦える選手が出てくること。

女子ではナショナルチームにいたときにアマチュアで初めて日本女子オープンを制した畑岡奈紗のような選手が出てくるなど、分かりやすい実績をつくらなければ、応援(寄付)のし甲斐を感じてもらえないだろう。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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