なぜ人は、絵を描かずにいられないのか? 美術史からこぼれ落ちた人たちの「名画」

印刷
A
A

命がけで描いた、シベリア抑留体験

 

久永強『鬼の現場監督』1993年
世田谷美術館蔵
シベリア抑留のときのソ連兵の現場監督。シベリア体験を描いた30点が彼の言葉とともに展示されている

シベリア抑留体験を持つ久永強は、メッセージを伝えるためにキャンバスに向かった。クラシックカメラの修理の名人だった彼は、シベリア抑留をテーマにした画家の香月泰男の展覧会を見てショックを受ける。家族にもほとんど語ることのなかった抑留体験がよみがえった。

「自分のシベリアを残さなくてはと、寝食を忘れ、骨身を削るようにして描きました。作品が43点になったとき、肺炎で倒れてしまいます。絵として評価されたくて制作したのではありません。自分が伝えなければという、死んでいった戦友たちへの強い思いから、命をかけて描いた絵なのです」と遠藤さんは話す。

次ページ入院患者たちの才能
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
トヨタが新型クラウンから始める販売改革の衝撃
トヨタが新型クラウンから始める販売改革の衝撃
ソフトバンク「20兆円ファンド」急ブレーキの難局
ソフトバンク「20兆円ファンド」急ブレーキの難局
平気で「サラダ」を食べる人が知らない超残念な真実
平気で「サラダ」を食べる人が知らない超残念な真実
宅配ドライバー「多重下請け」で疲弊する深刻問題
宅配ドライバー「多重下請け」で疲弊する深刻問題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT