なぜ人は、絵を描かずにいられないのか? 美術史からこぼれ落ちた人たちの「名画」

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国立神経科病院で羽ばたく、アーティストたち

おしまいに紹介するのは、オーストリアのアウグスト・ヴァッラのカラフルな作品。「アウトサイダー」と呼ばれる、精神的な問題を抱えながら絵を描いた人たちのひとりだ。

ウィーン郊外のマリア・グギング国立神経科病院には、患者でありアーティストである人たちが共同で暮らす家がある。彼らはヨーロッパ中で展覧会を開き、アートフェアに参加し、絵を売っている。

「病院の医師が、患者の中に美術の才能のある人たちがいて、症状を薬で抑えているときより、出ているときのほうが創造的な描写をすることに気づきました。だったら薬で抑えて普通の人に近い状態にもっていくより、芸術家として生きる道を目指してはどうかと考えたのです」

アウグスト・ヴァッラ『森のトカゲ』1993年
世田谷美術館蔵 Copyright: Art Brut KG
17歳のとき母親とグギングにやってきたヴァッラの絵は人気を集めた

アウトサイダーズの人々もまた美術界に影響を与えた。

「美術教育どころか、ほかの人が何を描くか、絵がどう評価されるかといったことと無関係に描いているから、強い個性がそのまま作品に現れる。自分の個性をどう出すかに苦慮しているプロの画家たちにとっては、うらやましいことなのかもしれません」

常識にとらわれず、他人の目なんておかまいなし。心のおもむくままに絵筆をとった人たちのパワーが会場に充満している。「いろいろな人がいて、人間というものの面白さを実感できると思います」と遠藤さんは話している。

 

「アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界」

2013年9月14日~11月10日

世田谷美術館
東京都世田谷区砧公園1-2
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)

10:00~18:00(入場は17:30まで)
休み:月曜(10月14日と11月4日は開館し、翌日の10月15日と11月5日は休館)
一般1000円、65歳以上800円、大高生500円、中小生300円


 

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