「ベートーヴェン」と「第九」の知られざる真実 思わず人に話したくなる蘊蓄100章

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81. 1824年に『交響曲第9番』の初稿が完成。同年5月7日にウィーン・ケルントネル門劇場で初演された

82. 日本では『交響曲第9番』(第九)の演奏が年末の風物詩となっているが、これは日本特有のものである

83. 日本で初めて『第九』が演奏されたのは1918年6月、徳島県・板東俘虜収容所のドイツ捕虜によってである

84. その後1924年には九州帝国大学のオーケストラが昭和天皇のご成婚を祝う奉祝音楽会で第4楽章を演奏

85. 同年11月には東京音楽学校の学生たちが、1927年にはプロの新交響楽団(現NHK交響楽団)が公式初演した

86. 日本の年末に『第九』が定着した理由は諸説あるが、新交響楽団は1938年から一年おきに『第九』を演奏

87. 1940年の大晦日には初めてNHKラジオで生放送され、太平洋戦争中は正月に振り替えて『第九』放送を続けた

88. 新交響楽団は1942年に日本交響楽団に改称されたが、46年からは原則として毎年末に『第九』を演奏している

89. 1953年末には初のテレビ中継も行われ、次第に他のオーケストラも追随。〈年末の第九〉演奏が恒例化していく

なぜCDの記録時間は「74分前後」なのか

CD(写真:ei03130313 / PIXTA)

90. ベートーヴェンの『交響曲第9番』はCD(コンパクトディスク)の誕生にも深くかかわっている

91. CDはオランダのフィリップス社とソニーで共同開発されたが開発途中の1980年当時記録時間論争があった

92. 「60分前後」というフィリップス社に対し、ソニーの副社長で声楽家出身の大賀典雄は「74分前後」を主張

93. 結果、ソニー案が採用されるが、その裏には指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンのアドバイスがあった

94. 大賀が親交のあったカラヤンに相談すると「ベートーヴェンの『第九』が一枚に収まる規格がいい」と返答

95. カラヤン指揮の『第九』は約63~69分だが、歴史に残る指揮者たちの演奏時間もおよそ60分を越えていた

96. 1951年にライブ録音されたフルトヴェングラー指揮の〈バイロイトの『第九』〉は約74分32秒

97. カール・ベームやレナード・バーンスタイン指揮の『第九』もそれに匹敵するがCD一枚に収録が可能になった

98. 1964年に開催された東京オリンピックには当時分裂状態だった東・西ドイツが〈統一選手団〉として出場

99. 五輪マークが入った特別旗を使用したが、国歌斉唱時にはベートーヴェンの『交響曲第9番』が歌われた

100. ドイツの天文学者カール・ラインムートは1932年1月27日発見の小惑星に「ベートーヴェン」と命名している

(文:寺田 薫/モノ・マガジン2018年1-2.16号より転載)

参考文献・HP/「ベートーヴェン」(音楽之友社)「クラシック偉人伝」(自由国民社)「ベートーヴェン事典」(東京書籍)「ベートーヴェンのおもしろ雑学事典」(ヤマハミュージックメディア)、NHK交響楽団、日本オーケストラ連盟、ソニーほか関連HP
モノ・マガジン編集部

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『モノ・マガジン』はワールドフォトプレス社が発行するモノ情報誌。原則、隔週で発行している。公式サイトhttp://www.monomagazine.com/

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