瀬戸内寂聴は29歳おちゃめ秘書が支えている 寝起きに下着を見せて「かわいいでしょ?」
――寂聴先生は、まなほさんと初めてお会いになったときどう思いました?
瀬戸内寂聴(以下、寂聴):かわいい人だなと。でも、やっぱりちょっと変わってると思いました。「私の本を読んだことある?」って聞いたら「ない」って。私のこと知らなかったのね、全く(笑)。
でも、大体うちで働きたいって人は、みんな私のことを知った上で来るでしょ?それが全く知らないからね、面白かったですよ。文学少女じゃないって感じで。
文学少女っていうのは、身の回りを頼む秘書としては一番駄目なのよ。お掃除も、料理も下手だし……。文学少女は全部断ったの。申し込みには随分来ましたよ。でも、文学少女じゃないってことだけで◎だったのよ。
――寂聴先生っていうと、「大作家の先生」「悩める人と向き合う尼僧」というイメ―ジが強い。でも、プライベートでは人間らしいエピソードが豊富だそうで。
まなほ:そうですね。結構、料理が下手だとか、いろいろと好き勝手言われてます(笑)。
寂聴:まなほは、自分で「料理がうまい」と思ってるの(笑)。
まなほ:先生は自分のほうがうまいと思っていて。お互い自分のほうが、料理上手だと思ってる。でも、先生の料理を食べたことある人で、存命中の方はもういないんじゃないかな(笑)。
66歳差の絆を育んだ「手紙」

――まなほさんは、寂聴先生と意志の疎通がうまくいかない時、誤解が生まれた時に、よくお手紙を書くようですね。
まなほ:やっぱり話していても、年齢もあって耳が悪いので、話がうまくかみ合わないときもあります。口で伝えても忘れられることや、うまく伝わらない可能性もありますから。
でも、やっぱり先生は小説家なので、「文章読めば全部分かってもらえるだろう」って思った。忙しいときでも、文章だったら読んでもらえるだろうと思って、その方法を取ることにしたんです。