知らないと損をする「昆布水」の意外な効能 昆布はおいしいだけでなく健康にもいい

✎ 1〜 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 最新
拡大
縮小

喜多條清光氏が社長に就任したのは、1989年です。会社は、陸軍将校だった父親が終戦後に創業。当時、北海道に昆布を買い付けに行く父親を、家族全員、水盃(みずさかずき)で見送った思い出があるそうです。それほどまでに大変な時代でした。

2代目社長の上山敏郎氏と(写真:大阪昆布海産)

その後、お店を切り盛りしていた番頭さんの上山敏郎氏が2代目社長に就任。昆布のことは一から十まで、この上山さんから教わったそうです。そして自分が社長になってからも、上山さんが会社を守ってくれていたので大いに遊びました。北新地で連日のように飲み、そして賭け事も好きで、麻雀では2度日本一になった、というから筋金入りです。

ただ、会社のおカネに手をつけるようなことは一切しませんでした。父親から、昆布のことよりも商売とは何かをたたき込まれていたからです。「商売人の信用は、おカネにしっかりすることや。それと約束は必ず守ること」。この教えが清光氏の脳裏に刻みつけられていました。

高校時代は学生運動のリーダー

高校時代は学生運動のリーダーで警察に目を付けられ、卒業後は単身アメリカに渡りました。けっこうヤンチャです。ただ1960年代ですから、おカネも多くは海外に持ち出せません。働くこともままならず、1年で帰国しました。

実は、清光氏は次男で、中華料理のコックさんになりたいと思っていましたが、兄の忠(まこと)氏から、「俺は筆で生きていく。お前は昆布で生きていけ」と言われ、家業を継ぐことになりました。だからというわけでもないですが、会社が北新地にあると思うくらい遊んだと言います。

しかしその間にも、昆布業界をめぐる環境は大きく変わっていました。45年前の昆布の年間消費量は乾燥した状態で約3万トンでしたが、21世紀に入り生産量、消費量とも激減し、10年前に2万トン、今年は1万5000トンを大きく下回るといわれています。往時の半分以下です。海水温上昇という環境問題に加え、昆布を採る漁師さんの高齢化、さらに手軽な顆粒だしの普及が昆布消費量の減少に拍車をかけていました。

次ページ昆布の危機
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT