遺伝的に健康な人は乳がんになりにくいのか 乳がんと有酸素運動能力の関連性は
有酸素運動能力は、細胞内の働きに作用して乳がんのリスクを大幅に減らすようだ。
最新の研究で、雌のラットに発がん性物質を投与したところ、健康レベルの高いラットはほかのラットよりもがんを発症する傾向がはるかに低いことがわかった。それらのラットは運動をしなかったにもかかわらずだ。
この発見は、健康レベルと運動、悪性腫瘍との関係を明らかにするうえで、期待の持てる手掛かりを与えるものだ。
運動をすればするほど健康になるのは正しくもあり…
心臓血管の健康、つまり酸素とエネルギーを筋肉に送る力は、熱心な運動によって築かれ、運動をすればするほど健康になると大半の人が思っているだろう。しかしそれは正しくもあり、間違いでもある。
複数の研究によると、私たちの有酸素運動能力の大部分、おそらく半分ほどは、遺伝的なものだ。遺伝的な健康のレベルは、家系によっても個人によっても大きく異なる。活動せずに体重が増加すれば健康レベルは下がるだろうが、運動によってそのレベルを高めることはできる。しかし、個人のベースとなる遺伝的な健康のレベルは生まれながらのものだ。
ここ数年、科学者たちは私たちの先天的な健康レベルが全般的な健康にどう影響し、またそれはなぜかについて関心を寄せている。健康レベルの高い人は、多くの種類のがんを含むさまざまな疾患のリスクが低いことが種々の研究で示されている。しかし、そのリスクの低さは日常的な運動に起因するのか、遺伝的に幸運だからなのか、もしくはその両方なのかは明らかになっていない。
学術誌『カルシノジェネシス』7月号に掲載された新研究では、コロラド州立大学、ニューヨーク市のメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター、ミシガン大学の研究者らが特に乳がんについて調査した。疫学的研究では、肉体的な健康は乳がんのリスクの低さと関連があるとされているが、その理由はわかっていない。