がんの9割は正しい知識があれば予防できる 遺伝、食事、運動、検診にまつわる誤解の数々
今年5月、俳優の今井雅之さんが大腸ガンで、「今いくよ・くるよ」の今いくよさんが胃ガンで亡くなった。さらに9月には、54歳という若さで女優の川島なお美さんが胆管がんで死去。その後、元女子プロレスラーでタレントの北斗晶さんも乳ガンであることを告白した。
日本人にとって「ガン」は、誰にとっても決して他人事ではない。今、日本では、2人に1人がガンにかかり、3人に1人がガンで亡くなっているという現状がある。
一方で、国立がん研究センターの予防研究グループが発表した「ガン発生とガン死の要因のうち、予防可能であったものの割合」によると、日本で発生したガンのうち、男性では半分以上(ガン発生の58%、ガン死の57%)、女性でも約3分の1(ガン発生の28%、ガン死の30%)が予防可能だったとされている。発症の多いガンだが、実は、その半数近くが予防できることもまた事実だ。
ここで、もうひとつデータを見てみよう。「30~40%」。これは、日本におけるガン検診受診率の数字である。実は、日本のガン検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)に加盟している先進国の中で最低レベル。これだけ身近な病気にもかかわらず、検診対象者の半数以上が検診を受けていないのが現状だ。
これら2つのデータを考えれば、「おおよそ6~7割のガンは予防の余地がある」といえよう。さらにその確率は、予防に関する正しい知識を持つことで高めることができるというのが私の持論だ。正しい情報に基づいた予防に取り組めば、「ガンの9割は予防できる」といっても過言ではない。
なぜ、タバコを吸うとガンの発症が高まるのか?
では、正しい情報とは何か? そもそも、「ガンは自然発生する」というイメージを持っている人がいるが、そうではない。がんは、「遺伝子修復のエラー」によって生まれるとされている。
どの部位にせよ、炎症やウイルス感染など、負担がかかって細胞が破壊されると、体はその細胞を修復する。そのときに細胞の遺伝子が誤って修復されると、ガン細胞が生まれると考えられているのだ。
これはつまり、炎症や感染が起これば起こるほど、修復回数が増え、その部位にガン細胞が生まれるリスクが高まるということ。
たとえば、喫煙が肺ガンや喉頭ガンを引き起こすのは有名だが、これは吸う度に、喉や肺に負担がかかるからである。煙の負担がもっとも大きい喉のガンリスクが極端に上がることからもそれは明らかである。喫煙者の肺ガンリスクが非喫煙者の約4倍であることに対して、喉頭ガンは約30倍にものぼる。
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