がんの9割は正しい知識があれば予防できる

遺伝、食事、運動、検診にまつわる誤解の数々

では、なぜ「塩」と「胃がん」はこれだけ深い関係にあるのかといえば、塩の刺激の強さにある。海水浴に行ったときに、海水が目に入って痛い思いをした経験がある人も多いだろうが、あれだけ痛みが出るのは、塩が激しく細胞を傷つけるからである。

このような高刺激のものを、毎日胃の中に入れることを想像してみれば、胃壁を荒らして、ついにはガンになることも頷けるだろう。特に日本人は、世界的にみても食塩摂取量が高いので、減塩を心がけるべきである。

「スポーツをしているから健康」は誤り

「スポーツをして健康的な生活を送っているから、ほかの人よりガンや病気になる可能性は低いはず」。そう考える人も多いはず。しかしそれは、イメージ先行の誤った思い込みだ。激しい運動を習慣的に行っている人は、ガンにもなりやすいといえる。

実は、ランニングやテニスなどの激しいスポーツは、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性を低下させる恐れがある。NK細胞とは、免疫細胞の一種で、体内をパトロールしながら、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃してくれる存在、いわばボディーガードだ。

しかし、NK細胞は、激しい運動によって活性が低下することがわかっている。たとえば、2時間半のランニング後にNK細胞の活性が50~60%低下したという報告もある。

そのため、スポーツはあまりオススメしない。「健康のために」と体を動かすのであれば、ウォーキングがいいだろう。ウォーキングのような適度の運動はNK細胞を高める効果があるので、ガン予防にはもってこいだ。そのほかにも、「禁煙」「適度な飲酒」「質のよい睡眠」「笑うこと」「ストレスをためない」「体温を下げない」などがNK細胞の活性を高めるとされている。

人間ドックは受診するべき?

最後に「医療」と「検診」について、触れておこう。「検診」について気になるのは「自治体や企業の検診だけでよいのか?」「人間ドックなどでいろいろな種類のガンを検診したほうがよいのか?」といった疑問だろう。自治体や企業の検診を「対策型検診」、人間ドックを「任意型検診」と呼ぶが、私は、基本的に対策型検診だけで十分だと考える。

理由のひとつとしては、死亡例の大半を占める種類のガンは、対策型検診でカバーされていることだ。対策型検診の目的は受診する集団の死亡率減少のため、死亡数の多い種類のガンが選択されている。そのため、ある程度の予防はこれでカバーできる。

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