「共働き家庭の中学受験」はどれだけ大変か 仕事と送迎とプリント整理と…

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実際、中学受験はその後の人生にプラスだという経験者の声は少なくない。渋谷区に住む共働きの男性(43)もこう話す。

「中学受験で勉強したことが、人生で一番役に立った」

自分自身も、30年以上前に中学を受験。その後、いわゆる一流大学に進学した。振り返ると、考え抜いて問題を解く能力は、方程式や定理を使えない中学受験の算数などで培われたと感じている。それが、就活にも役立った。子どもたちにも中学受験を経験させたい。現在、長男はトップレベルの中高一貫校に在学中。小6の次男も、御三家を狙って勉強中だ。

中学受験の「塾ソムリエ」を名乗り、塾に関する著書も多い西村則康さんも、35年以上の受験指導経験からこう話す。

「中学受験のゴールは合格ではありません。“学ぶ姿勢”を身につけることが一番大切です。これが身につけば、将来の大学受験にも役立つのはもちろん、生き抜く力も身につきます」

とはいえ、多くの子どもは放っておくと勉強しない。仕事と受験サポートに伴う過労とイライラ、「十分にサポートできていない」という罪悪感から、

「これまでの子育ての中で最大の負荷」(会社経営の女性・45)

という声も上がる。

長期の予定は挫折する

やはり、働く親に中学受験のサポートは無理なんでしょうか。 西村さんの答えは、

「長期の学習スケジュールは親子で挫折しがち。まずは1週間ほど、やった勉強を日々書き出して、通常モードで子どもがやれる勉強量の把握を。その後は週単位で作ってもいいですが、出勤前にメモ程度でその日にやることを書かせてチェックするだけでいい」

ホントですか?

「あとは、親が合格のために自分を犠牲にしていると思わず、楽しく仕事にも取り組めたら、子どもは最終的には大丈夫。素晴らしい学歴の上司が素晴らしいとは限らないでしょう(笑)」

(ライター・三宮千賀子)

※AERA 2017年9月18日号

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