「共働き家庭の中学受験」はどれだけ大変か

仕事と送迎とプリント整理と…

冒頭の女性もこう話す。

「友だちがみんな受験するから勉強したい、と言い出した息子に、経済的なこと以外でダメだと言う理由もなかった」

むしろ、経済的にはまかなえてしまうからこそ、子どもがそうしたいと言えば「共働き」を理由にあきらめさせる親は少ないだろう。結果、日々の仕事と塾への送迎、平日の面談や保護者会、志望校の説明会などあまたの行事をこなしつつ、日々の子どもの勉強にも伴走することになる。親のサポートなしに自主的に勉強する小学生は、いないに等しいからだ。

冒頭の女性の家庭では、夫はもっぱら、保育園に通う長女の世話を担当。入塾時に講師から「男の子にはプリントの整理は無理。お母さんの役目です」とはっきり言われて以来、受験のサポートは主に、女性が担当している。

文京区に住む公務員の男性(50)と会社員の妻(48)夫婦の場合、塾のプリント整理は男性の担当。長女(15)が受験したときと同様に、小6の長男の国語と社会は妻が、算数と理科は男性がサポートしている。

ただ、進学実績にひかれて決めた、長男が通う塾は、長女が通った塾と違って、「働く親にフレンドリー」とは言いがたい。ほぼすべての教材が冊子ではなくプリントで、その量は2週間で新聞1週間分ほど。勉強をサポートする場合、そのすべてを整理するだけではなく、目も通すことになる。もう、居間はファイルだらけだ。

男性は言う。

「この塾のプリント整理の大変さは有名で、週末ごとにやらないとわけが分からなくなる。宿題も親のフォローが必要で、それも量が多くて終わりません」

子どもの人生への投資

妻の職場近くの繁華街にあるその塾には、夫婦のどちらかが迎えに行く。小6になると、授業が終わる夜9時近くまで「残業できてしまう」状況に。

「この春、僕が毎日終電で帰るほど忙しい部署に異動になってからは、同じタイミングで正社員になった妻がギリギリまで働いて、迎えに行っていました」

妻が過労で体調を崩すのに、そう時間はかからなかった。5月にはダウン。帰宅後に宿題も見ていて、疲れやストレスがたまったのだ。

やむなく密着サポートを中断すると、成績はみるみる下降。長男は反抗期で勉強には集中しないが、「じゃあ受験はあきらめたら」と諭しても「どうしても受験する」と譲らない。悩んだ末、夏休みは「塾のための塾」に頼ることにした。

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