「共働き家庭の中学受験」はどれだけ大変か 仕事と送迎とプリント整理と…
朝はお弁当を持たせて個別指導の「塾のための塾」に送り届け、午後はそこから、通常の塾の夏期講習に転戦する。成績は御三家レベルも狙えるほどにアップしたが、個別指導塾から届いた請求書は、
「16万2千円でした」(男性)
大学入試にも役立つ
子どもには最良の教育環境を与えたい。地元の公立中学に進学して高校受験を目指し内申点を取るほうが、共働き家庭には大変そう。そんな思いが、どんどん財布のひもを緩ませる。
お金だけではない。親たちを最も悩ませるのは、仕事とのバランスだ。江東区在住でメーカー勤務の女性(45)は、会社からの「管理職になれプレッシャー」に悩む。
夫は単身赴任中だが、長女(16)に続き、小5の次女も中学受験の準備中だ。
「中学受験に親のエゴがゼロだとは言いませんが、9割は子どもの豊かな人生への投資だと思っています」
長女とおなじ進学校を狙いつつ「ダンスも続けたい」という次女のために、社会は自宅で女性が教えることにして塾に通う日を減らし、ダンスに通う時間を捻出している。
女性自身は、これから受験までの1年半は仕事量を抑えたいと考えているが、会社はそれを許してくれない。管理職になるための研修への参加を促されるたび、逃げ回っているという。
「子どもにとって一度きりの中学受験を支えられなかったら、一生後悔すると思う。いまはそう割り切って、受験に向き合いたいのに」
子どもを支えたいと思いつつ、思う存分、仕事もしたいという葛藤を抱える親も多い。
千代田区で官僚として働く女性(50)も半年ほど前、小6になる長女の受験を見据えて上司に業務の軽減を相談した。返ってきたのは「つまらない仕事ばかりになることを覚悟して」という言葉。落ち込んだが、なぜか異動先は海外出張もある部署だった。やりがいは申し分ない。でも、受験のフォローは十分にできない。
それでも受験はさせる、とこの女性。
「娘はしっかり者で、夏休みも一人で頑張れた。それに万一失敗しても、中学受験の勉強は、大学入試などで活用できる内容だと確信しました」