スタンガンは「安全な制圧方法」とはいえない

警察が使用したケースで全米1005件の死亡例

米国では、精神病患者向けの福祉サービスに対する政府支出が削減されたことを受け、精神疾患やノイロイーゼ、なんらかの発作を起こした患者などの対応をするため、警察官が呼ばれることがより頻繁になっている。

アメリカ精神医学会の調査によると、警察に対する緊急出動要請の100件に1件が、精神疾患の患者に関わるものだ。こうした現場では、警察官はスタンガンに頼ることが多いと、専門家は言う。

「警官は、現場で福祉ワーカーの仕事を背負わされている。一部では、言葉による説得はそこそこに、まずスタンガンを使っている実態があることを懸念している」と、ユタ州司法当局で法執行を担当したケン・ウォレンティン氏は言う。

一部の連邦裁判所は、テーザー銃の使用は相手が攻撃的な場合に限定するとの判断を示し、こうした基準が広がりつつある。司法問題のシンクタンク、ポリス・エグゼクティブ・リサーチ・フォーラムは、相手が「医療的や精神的な危機状態」にある場合は、テーザー銃使用を控えるよう提言している。

だが警察の使用基準には、大きな幅がある。

相手の精神状態をその場で判断するのは難しい

現場の警察官にとって、テーザー銃の使用を控えるべき基準の判断は極めて困難だと、警察官や法律家は指摘する。

相手の精神状態をその場で判断するのは、「警官の職務の中で最も困難なものの1つ」だと、ラスベガス都市圏警で警官訓練を担当するエリック・カールソン氏は言う。

トム・シュロックさんにテーザー銃を発射した警察官のサンティアゴ・モタ氏は、証言記録で、現場に到着した時点では、トムさんが精神疾患の問題を抱えていたことを知らなかったと述べた。

出動要請記録は、この件を、精神疾患に絡む強制確保の必要を意味する「5150ホールド」のカテゴリーに分類していた。モタ氏は、この分類に気付かなかったと証言した。

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