「定義」がデジタルマーケの効果を決める理由 なぜ日本企業の施策は「不十分」なのか
物流や品ぞろえだけでは、Amazonに対抗できない
2017年7月、セブン&アイ・ホールディングスとアスクルは、ネット通販事業で提携すると発表した。両社の通販サイトで互いの商品を取り扱い、品ぞろえを強化する。また、物流の強みを持ち寄り、新しいサービスを提供。日本の小売市場でシェアを高めるAmazonに対抗するという。
では、セブン&アイとアスクルは、Amazonに対抗し、競争力を向上できるだろうか。デジタルマーケティングの観点で考えると、難しいだろう。なぜならば、発表の内容を見るかぎり、品ぞろえや物流のサプライサイド(企業側)の視点だけが重視されていて、デマンドサイド(顧客側)の視点が抜け落ちているように見受けられるからだ。
Amazonの競争力は、もちろん品ぞろえや物流にもあるのだが、同時に、膨大なビッグデータを人工知能(AI)で解析した顧客理解と提案力に、その源泉がある。Amazon IDと紐づいた消費者行動に関して、検索という購買「前」データ、決済という購買「そのもの」データ、レビューという購買「後」データを持つ。そして、それらをAIにより分析することで、次の消費者行動を洞察し提案する。ここにデジタルマーケティングの価値、オムニチャネルの競争力の源泉があるのだ。
このケースに限らず、日本企業の多くは、サプライサイドのチャネル統合ばかりが頭にあり、デマンドサイドの消費者理解が抜け落ちている。こういう状態は、デジタルマーケティングでは、クロスチャネルの構築にすぎず、オムニチャネルの構築だとは考えない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら